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TEAC C-2 突然停止するジャンク・修理清掃の記録

TEACのカセットデッキ C-2、オークションで落札した難あり品を清掃・修理した際の写真です。

現在行っているブログ引越し作業中に見つけたフォルダに入っていた画像で、タイムスタンプは2009年の冬でした。
11年も前の事なので記憶が曖昧な部分もあり、修理情報と言うより画像のアップがメインですが、コネクタの配置などは写っておりますので修理レストアの際の参考にでもなれば幸いです。
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【写真・下】 皿ビス用のワッシャーです(ローゼットタイプではありません)。
C2ではカバーのトップにある2本の丸皿ビスに使われています。
ちょっと特殊な形状なので水谷さん(昔の秋葉少年ならご存知のはず=ネジの水谷)でもすぐに出るかどうか。

単なるお役御免あるいは故障により使用が終了し、そのまま放置されたものであれば絶対に残っている部品です。しかしコレが無いと言う事は誰かが蓋を開けたという事になります。そしてワッシャーの組み戻しを忘れるという事でその誰かのスキルは凡そ推し量れます。
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曖昧な記憶ですが本機の出品解説には以下のような事が記されていました。
・録音再生中に突然停止状態に戻ってしまう不具合が頻発
・長期間放置品、現状不動

突然停止はかなりウザイ不良であることに間違いなく、修理に出すと 「メカコンの暴走はロジックICの劣化不良も考えられますのでまずは半導体を全交換してから様子を見ましょう」、とか言われるタイプ。だが大抵の場合、そんな所に原因は無い。

作業の方は到着時に融けて切れてたベルトを掃除して新しいベルトに交換、テープが走る状態にまで戻すことから始めました。
メカを下ろした時の写真ですがベルトの破片が落ちています。
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光漏れの防止用だと思いますがメーター脇にあるスポンジも劣化。
解けたゴムベルトとか劣化したスポンジ、コレが家族の肌や服に付いたらもう家に居られなくなります。
慎重に掃除して、小さな破片も見逃さずに捨て、スリッパの裏も確認してから部屋を出る。
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メカ後ろ側、フライホイールを抜いた状態の写真です。
幸いにもリール駆動系のアイドラのゴムには溶解や硬化は見られませんでした。
試しに先ほど(2020年11月)、手元にあった90分テープで早送り・巻き戻しをしてみましたが問題なく完走。
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フライホイールのクリーニングやベルト交換の際に外さなければならない物を撮ったのだと思います。
(フライホイールを押さえているバックパネルの固定ビスとキャプスタンのオイルシール、かな?)
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湿気のある汚れや初期の錆を感じたので全ての部品を下ろし、シャーシの掃除と手入れを決意しました。
LO-Dの時もそうですがC-2も普及機には無いオーラを感じ始め、作業が丁寧になっています。
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基板に見える銀色の長い部品は固定用のステーだったと思います。
2ヘッド機の故障原因の一つでもあるレコプレ(REC or PLAY)切換スイッチではありません。
ただし本機もフロント右にある縦一列のレバースイッチ群は手入れをした記憶があります。
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シャーシに付着していたのは黒い埃。タバコのヤニの付着は無し。
今、写真でも見ても汚ったない。
たとえカセットデッキでも塵や埃の付着によるドロップアウトの発生を危惧される方はいらっしゃると思います。
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水洗い後、軽く錆対策。
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組み戻し開始。
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ハーネスの引き回しは付いた癖に逆らわないように気をつけただけで、特に悩んだ部分は無かったはず。
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基板上にケミコンが見えてますが交換は行っていません。
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リア部分。この上にもう一枚パネルが乗りますので見えなくなる部分ですが、今この写真を見てもシャーシの状態は悪くないように思えます。
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組み戻し後のテスト再生では何の問題も感じさせない綺麗な音が印象に残っています。
メカもキビキビとした気持ちの良い動きでした。が、やはり突然ヘッドが下りた。
エアチェック(死語)中なんかにコレが起きたら、うんざりしただろうなぁ。

当時のメモによるとこの機械のメカコンは汎用デッキコントロールICであるM54410P(三菱)を中心に組まれていました。気の短い人であれば早速このICの手配に入る事でしょうが、今なら配線を全部切ってArduinoで制御する手もアリかも。
何はともあれ、どこかでインピーダンスが上がっているのかな、電源が揺れているのかな、IC不良かな、と回路を追う前に各コネクタを軽く弄ったのを覚えています。
すると軽く揺するだけでヘッドが下りてしまう(ストップ状態になる)コネクタを発見。

当初はポスト側(オス)と基板の半田クラックを疑うも違いました。
初めての経験でしたがコンタクトの金属自体が脆く変質し弾性を喪失、接触が不安定になっており、接触圧を上げようと僅かにコンタクトを広げると折り曲げ部分に亀裂。
応急処置で該当のケーブルを基板に半田付けするとそれ以来、現象現れず。

念のため装置内の同型コネクタ全てのコンタクトを点検、弾性の弱さを感じるものの接触は保たれていました。
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四角いのがバイアスの発振器、その横の6個並びがバイアス周波数調整用のトリマーでしょう。
当時はサービスマニュアルやテストテープが無かったので調整部分を弄る勇気は出ず。
(2020年11月現在、英文のサービスマニュアルはネットで取得可能です)
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下の写真内で左下にあるメカの上が電源部、その横で縦に配置されているのがメカコン、右半分は2階建構造ですが見えているのがREC-AMP系だったと思います。
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ここまで記事を書きつつ、あらためて近年の価格高騰と玉数の減少を思いました。
C-2も手放したらもう二度と買えないだろうなあ。
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今後はこういった品もビンテージアイテムと化して行くのでしょうか。
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会社の取引先のスタッフであり、今時のIT系のお兄さんからWordPressブログへの引越しを薦められ、他のネット活動についても日々アドバイスを頂いております。
「オーディオ機材の分解修理とかは動画に撮ってユーチューブに上げるんですよ」とご指導を賜りました。
はい、今後はチャレンジしてみます。






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Lo-D D-4500 レストア記 詳細版【2】

Lo-D D-4500 レストア記 詳細版 昨日からの続き。

砂だらけですがヘッドに損傷なし。ピンチローラーに弾性が残っていたのも吉でした。

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コンパートメント分離はステーを外すだけ(記憶に無いけど写真が残っていたので・・・)。

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前後、その下などに配置された鉄製のフレーム(アングル)こそがこのデッキの骨組。
これを外すとメカデッキとその横の基板系がバラけてきますが骨なしの状態になるのでそれなりの気遣いが必要。

分解・組立には通常のデッキ弄りに使うドライバーより一つ上の+ドライバーが必要でした。
(カセットデッキも機械式時計同様、磁力のあるドライバーは避けるべきかもしれません。)

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調子に乗ると壊しそうな部分。
ツマミはイモネジとかローレット圧入では有りませんでした。
=ネジ。

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パネル裏側に樹脂製のワッシャー有り。
もう忘れてしまったので断言できませんが、もしかするとGND LOOPの形成を避け、ジャック類の取り付け(後部サブパネル)も電気的に浮かせてあったかも。

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ヘッドを載せた鉄板が前後に動く構造。それを分離。
通常修理ではココまでする必要は無いかも知れません。
私のD-4500は砂が入り込み、キノコのようなカビも生えていたので躊躇している場合ではなかった。

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2mmのベアリング4個で支えられていました。
バネがビヨ~ン、とか、再組み立てでベアリングがネーよ!、とか、想像したく無いけど時々やる。

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メカデッキ(シャーシ)上、銀色で長方形の所にベアリングが乗ります。

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メカデッキ(シャーシ)分離。汚れて見えますがもっと酷かったのでこの写真は軽く掃除をした後だと思います。

写真上部、丸いアルミがリールモーター。カセットデッキのモーターというよりマイクロモーターとか精密モーターなどと呼ばれていた物に近い感じ。さすがに高級機です。
幸いなことにトルク十分、回転もスムーズでした。

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現存個体で、それがたとえ動くものだとしても確認しておくべき部分でしょう。
リールモーターのブレーキです。
下の写真、左上のソレノイドによって駆動されます。

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ブレーキパッド?。
こんなのドコ探してもねーよ!と叫びたくなります。ブレンボでも扱ってません。

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前後しますがキャプスタンとリール駆動側の軸受け。
鉄板のシャーシに真鍮+メタルの軸受けがM3×3本のビスでしっかり固定されています。
この世代特有のガチガチな構造ですが、こいういった所も好き。

ビスの錆びと軸受けに纏わりついたカビ。これは放置する訳には行きません。

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近代(と言っても昔)のデッキではリールハブの先端で樹脂のCリングなどを使いシャフトに収めていますが、本機はハブとシャフトが一体。リールプーリーのイモネジを緩めてシャフトを抜きました。

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腐ったベルトが水分を抱き込み、プーリーが腐食しかけてたので磨き。
コレが想像以上に固い=ジュラルミンだと思います。

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キャプスタン(フライホイール)の押さえは樹脂。

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中道のド級を除き、デュアルキャプスタンの宿命でフライホイールは小径。
(個人的にはA-450(TEAC)みたいな大径の方が好き。)

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キャプスタン側の軸受けを外してシャーシ側の錆びた部分を養生。

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自分なりに手を施してから再組み付け。
ブレーキは小径のOリングを複数個差し込んだ記憶。

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フレームも磨きました。
構造的な固定にはM4かM5(どちらかは忘却)、基板などの固定にはM3のビス。
なもんでデカいドライバーが必要。

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固まったグリスをアルコールで洗い、黒プラの白けをシリコンオイルで戻す。
デッキ好きなおぢさん達にとっては極普通の行為。

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つつく。


Lo-D D-4500 レストア記 詳細版【1】

「Lo-Dのデッキがオクに出てるね!」と、元ローカルから久しぶりのメール。

カセットデッキは介護中に手に入れたRS-279とかが手付かずのまま趣味部屋に転がっている状態。しばらくは何も買う気はないけれど?やっぱり気になってオクを覗いたら、そのLo-DのデッキってD-4500だったようです。

介護中は電源さえ入れなかったウチのD-4500。さっきLONG VACATIONを聞きました。

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今出ている個体は一見してかなり程度が良さそうだし、落札できた人は嬉しいだろうなあ。
羨ましい気もするけど、自分には砂まみれで辿り着き、手間のかかったコレが可愛いくて、、、。

入札されているのはお互いに価値観が近い方々だと思いますし、オークションを煽る気などは全くありませんが、私のD-4500の修理記録をもう少し詳しくアップしておきます。
(別のレア物が奥に写っていますが、こちらもいずれ・・・。)

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知らずに修理に挑む人はいないと思いますが、キャプスタンはDCモーターではないので・・・。

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基板が50/60Hzで同じとして、特に切替は無いみたい(Cは一個しかないし)。

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以前の記事では省いてしまいましたが、この辺を調べたくて当ブログを訪れた方がいらっしゃるかも。
で、これ見てガーンと来るかも知れません。プーリーは切替なしの一段物。
私の場合は東京で品物も50Hz仕様でしたが、他方がシャーシに仮止めで附属されている事はなかったような記憶。
(旋盤あれば作れますし、正弦波出力のUPSを希望周波数に改造する手もあります。)

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以下、PENTAX ist DSで撮った記録です。

到着して現象確認して、さあ中身拝見の頃の写真(朽ちたベルトが落ちてます)。
オクの個体とはエンブレムやキャリブレーションのツマミなどが微妙に違う事に今気付きました。

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このデッキは基板とメカをまとめてマウントするシャーシがなく、何本かのコの字型のスチールフレームで構成されていました。かなり厚い=重い。
フロントパネルを外す為には何本かのリード線を切るか、半田を外す必要があった気がします。

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CR類はジャブ漬け(半田槽)、SW・コネクタ類は手半田。

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リールのプリーはアルミ色ですがおそらくジュラ。腐ったベルトの影響で腐食しかけた部分を磨きましたがアルミより固かった。

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トップ(パネル)の部品を外す。
レタリングは彫りではなくプリント。無理なクリーニングしたら消えちゃいそう。

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ランプなどパネル上にある部品からのリード線を外す(私の場合は切っちゃう)。

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下の写真左側、下半分がメカシャーシ、上半分はトランスやサブパネルに載ったスライドVR、その下に基板。これらに対するシャーシと言うものが無く、何本かのスチールのフレーム(棒)に固定されています。

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テープ操作のボタン類はサブパネルに載ってフロントパネルに固定されているだけ。ボタンから伸びているロッドが基板上のマイクロスイッチを押す仕掛けです。

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パネル側分離完了。

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中身側。

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ブレーキを含むゴムパーツは木枠を落とすだけで交換可能、だったはず。
まあ、70年代の機械ですからそれだけで済む事はないと思いますが。

つづく。


Lo-D D-4500 レストア記

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PENTAX istDSに入れっぱなしだったSDカードを覗いたところ、数年前の愚行が蘇りました。

日立ローディーの高級カセットデッキ Lo-D D-4500 レストア記録。約三年前。

発売当時は憧れだけで手に入れようなどと大それた事は微塵も考えていませんでした。
しかし何事も思い続ければいつかは叶うもの。
三年前、オークションでそのチャンスが到来。残存個体も少なくなっている事でしょうし、もう状態は不問、意地になって落札しました。

覚悟はできていましたが到着した物は、、、好きな人以外が見たらガラクタ。
自分でも ”うわぁ、ついにD-4500” という感激と ”すごぉい、ボロ・・・”

まあ、使用を終えてからは手付かずだったようで、一見して修理を試みたり部品を交換した形跡は無い点には安堵。
これが ”修理済、接点は復活剤塗布処理、ケミコンは高音質タイプに、トランジスタは耐ノイズを考慮してモールドタイプからCANタイプに全交換済” とかでしたら、もう絶対手を出さない。


このレストアは学生時代に無線機を一台作った時と同じ位の労力が必要でした。
楽しかったのは事実ですが、作業後半はお腹一杯状態。おそらく二度はできません。

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写真では写りきれていませんが、全体に砂埃と錆とカビ。金属部分に艶は無し。
フライホイールはシャーシに対して凹型となる形状でその周辺はまさに湿地帯。
軸受け付近にはキノコのような、カビ?。

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メカ、スイッチ、VRは錆と砂でガリガリ、ゴムベルトは千切れてカチカチ。
幸運な事に??、モーターは回りました(DCかければ)。メーターは振れました(DC流せば)。
しかしボタンを押してもメカは動かず。電源は来ていましたがAF全滅。EEでも信号通らず。
もう、何処を直してと言うより、バラバラにしてOHするしかない状態でした。
(キライな事ではないので作業開始時はニコニコ。)

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波打つように反っていた基板。
今のPCで言うマザーボードと拡張ボードのように、バイアス発振やSWなどの基板が写真の基板上、垂直に実装される構造なのですが、それら接続用コネクタのピンは半田が全滅だったような記憶。

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これは錆カビを取り、手に入る物を使って修復した作業後です。

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ここまでに2ヶ月以上。かなり本気で仕上げたので現存個体の中では優秀な方だと思います。
メインシャーシの上をヘッドを載せたサブシャーシがベアリングで移動する構造です。
厚い鉄板なので歪み変形は無くOH後は滑るような滑らかさ。まさに高級機(昔の)。

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元気な時は基板側の修理、疲れて頭を使いたくない日は機構部品を直していたような、、、。

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幸いなことに基板上の部品で完全にNGとなっているものはありませんでした。
念のため電源に関わるケミコンは全て交換、信号経路のケミコンはあえてそのまま残し音出し。
良い音ですが、やはり第一世代のカセットデッキ。まあ、頑張った分、+3dB良い音に聞こえました。

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作業中の写真はまだありますが、整理ができたら改めてアップします。


プロフィール

Dellbee

Author:Dellbee
デルビィです(少年時代にハマったアマチュア無線局のコールサインを捩りました)。
子供の頃から電子電気・機械物弄りが好きで、今も自分の時間が取れた時は何か弄っています。

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