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JRC NJZ-2000 【③ docomo JRC-FOMAテスタ フルコントロール化】

ガラケーテスター JRC NJZ-2000の亜種でありながらジャン測的に使い道を見い出せないFOMA端末試験専用機のdocomo JRC FOMAテスター。
メニュー上にはNJZ-2000同様のマニュアル計測も含まれており、今回はこれを操作するためにロータリーエンコーダーとエンターキー用のタクトスイッチを付加した際のメモです。 foma-tester-001.jpg

操作部の追加により利用可能になったスペクトルモニタとSG。
SGは各バンドで上限下限が黒のNJZより若干拡張している(本稿末に記述)。
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■機能・外観比較■ 
入手時点ではルートメニュー2ページ目にある【F-TESTER】(FOMA tester?)というGUI的な大文字画面のガラケー自動試験アプリだけが起動可能で、他の計測器風な画面はメニュー間の移動ができても数値のセット/エンターが出来ず使用は不可能。
ファンクションキーにプリントされた記号や文字は【F-TESTER】内での操作のみに対応。
 
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黒のNJZ-2000ではフロントにあったRF IN/OUTがリアに移動しています。
內部構成はRF部CPU周辺共に黒から若干更新されている印象。
USBはリアに一つ、フロントはプリンタのロール紙収納部の奥に配置。これらのUSBでスクリーンショット書き出し用のUSBメモリは使用可能。マウス/フルキーボードは計測アプリ上では認識されず(BIOS~OSレベルでは使用可能)。
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NJZ-2000がPentiun3/800MHzであるのに対し、こちらはCeleron M/1GHz。
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■內部比較■
フロントパネルは内側4箇所の爪で固定。
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フロントシャーシ分離は左右2本ずつと下に3本のM3皿ネジ。
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フロント裏側。 スイッチ群やバックライトコントロールからの配線が集う基板がおそらくIOインターフェース(下の写真・赤円内)。
その他は液晶とDVIのインターフェース基板、サーマルプリンタとそのインターフェース(コントローラー)基板など。これらは単独で流用可能。 
※LCDパネルとCCFLインバーター、インターフェース基板でVGAのDVI/HDMIモニタとして使用可能。HDCPが無いのでXびでおは見れてもDVD鑑賞はNG。
※プリンタとそのコントローラーはSII(セイコーインスツル)の標準品であり、ドライバも入手可能。接続はセントロニクス準拠かと思ったがこの基板はRS-232Cタイプ(マザーボードに繋がっているケーブルは確かに2本)。
装置内でこのプリンタは【F-TESTER】アプリ専用らしい。他の計測アプリではスクリーンショットの出力先としてファイル出力かESC/Pプリンタ(エプソンのカラリオ)を選択可能だがサーマルプリンタは選択肢になく無反応。
サーマルプリンタはそのうち取り外しWindows10+USBブリッジで遊んでみる予定。一色刷りの狭小プリンタなれど業務スーパーに行く際のメモプリンタが欲しかった。
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I/Oインターフェースと思われる基板。いくつかのコネクタに繋がれたケーブルの先はフロントパネルのスイッチ群とバックライト用インバーター、そしてCPU。
この基板上に怪しい5Pinの空きコネクタを発見(赤矢印)。 
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今度はロータリーエンコーダー(押し込みSW付)を装備した黒のNJZ-2000フロントパネル裏側を観察。
RF IN/OUTがフロントにあり、プリンタは未搭載なのでレイアウトが異なるがLCDインターフェースやCCFLインバーターに加え、なんか見たことある基板がローターリーエンコーダーの後ろあたりに存在する。
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一見して白機/黒機、どちらのI/Oインターフェース基板も部品配置は同じ、シルク印刷の記号番号は若干異なる。
マイクロコントローラーが載っているとしてファームが異なる可能性は十分に考えられるが、白機のdocomo JRC-FOMAテスタでは空きだった5Pinのコネクタにロータリーエンコーダーが接続されている。
 #1=+5V
 #2 
 #3 
 #4=GND 
 #5
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黒から外したローターリーエンコーダー。 
岩通製の光学式(プッシュSW付)、A/B相はCーMOSシュミットトリガ出力。
(白いキャップを外し74HC14があるのを確認)
コレを白につないだ所、極めて自然にカーソル移動とエンターが実現。
この部品を手に入れさえすればGSMモードでのマニュアル操作はあっさりと叶う。
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下はネットで得られた岩通のカタログから。
ジャンクから剥がすなり新たに購入するなり、あるいはフロントAssy交換の白黒パンダとすればdocomo JRC-FOMAテスタもconfig設定やマニュアル計測が可能になるが、コレは結構な高級品。このためにNJZ-2000をバラすのは切ないし、かと言って新品購入はそれなりに高価。オークションでの外し物ジャンクの出品も期待薄。
ということで今回は手持の部品を使って操作部を製作する事に。土曜の夜、30分で片付くと思って作業を始めたら朝になりました。
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■カーソルダイヤルの製作■
さほど古い機械でもないのでロータリーエンコーダーのチャタリング対策はソフト側で十分になされているだろうと推測、手持のメカ式とC-MOSのシュミットトリガで試作。
パーツケースを漁っていくつかのロータリーエンコーダーをピックアップ。 
90年代、秋月で普通に販売されキットにも使われていたアルプス製のEC16Bと、00年代初めにALPS製と置き換えられた模様の台湾ALPHA製(EC16Bのコンパチ品?)。
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秋月ではアルプス製の取り扱い終了後もしばらくはアルプスのデーターが入っていたらしい。 
確かにいくつかある手持のうち1つがALPHA製で添付データーはアルプス。
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まあそんなことはどうでもいいやとALPHA製を使って組んだところ、シュミット通しても消しきれないチャタリングに反応しているようでカーソルが暴れる。
ALPS製に換えても現象は変わらず。中国製のマウスホイール用で試しても同じ。 クリック位置での位相どうのこうのより単純にどうしても現れるチャタリングを早々に位相信号として取り込んでしまっている印象。
ここでメカ式を諦め、パーツケースの奥にあったコパル製光学式で再実験。
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COPAL RES20-50-200-L(クリック無)
2000年の春、秋葉原の計測器ランドでジャンクのスペアナ(TR-4132N:75Ω版)を買って喜んだ後、鈴商に寄った際に見つけて一個数百円で購入した記憶。
22年後の春に初実装。
クリックがないので若干ふらつく感はあるが純正の岩通製同様スムーズに操作可能となる。
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回路は以下。なぜインバーターが3連なのかの解説は省略。
80年代でもC-MOSロジックの未使用入力開放でICを壊す話は散々聞いたけど実際に壊したヒトは知らない。
脳がラッチアップしたりスタックフローして人に迷惑を掛けるヒトはたくさん居た。心が多重割り込みに対応できず涙流してキレるヒトが一番怖かった。
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使い古しのユニバーサル基板と、それに張り付いていた18KΩの抵抗2本もそのまま使用。
NJZ-2000のダイヤルプッシュ式エンターは高速回転時に誤操作することもあるが、タクトスイッチを使った分離式はその危険もなく操作感は悪くない印象。
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■まとめ■
ダイヤルに関しては機械式のエンコーダーしかない場合、Attinyや小規模PICなどで波形を正規化するか、もしくはダイヤル操作を諦め2つのタクトスイッチ(戻る/進む)でロータリエンコーダーのA相B相をシミュレートするような回路を組む手もあると思われます。
  
本機は外形同寸な3種類の電源基板やカードケージ式のCPU/RF基板などで構成され、比較的分解しやすい構造です。一時期のジャンク流通後、バラされ基板単位でオークションに出品されていたこともあったようで、私も使い込まれていた初代NJZ-2000の修理用に電源ユニットのみも落札させていただきました(3種類/各5枚、計15枚1セットを落札:今も4セット分が待機中)。
完品のジャンクについてはFOMA終了時に最後の放出があるかも知れません。

取り組むかどうかは定かでありませんが、今後の課題は周波数の変更です。
おそらく本機のRF部分にはアナデバ製のICが使われており、そのパラメーターの変更が叶えば面白いことになるはずです。6年前にサラリといじった際、システムに入りrootも取れた記憶があるので将来なんかのきっかけでチャレンジするかも知れません。
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●スペクトルモニタ周波数範囲●NJZ-2000/docomo JRC-FOMAテスタ 共通
 ・GSM850/824.2MHz~ 848.8MHz
 ・GSM900/876.2MHz~ 914.8MHz
 ・PCS1800/1710.2MHz~ 1784.8MHz
 ・PCS1900/1850.2MHz~ 1909.8MHz
 ※スペクトルモニタは上記周波数内でスパン400KHzあるいは200KHzをスイープ。
 ※RBWは10KHz or 30KHz 
 ※オートレンジ(キャリアピークがリファレンスレベル)

 ●SGの設定可能周波数●NJZ-2000/括弧内はdocomo JRC-FOMAテスタ
 ・GSM850/869.2(864.2)MHz~ 893.8(898.8)MHz
 ・GSM900/921.2(916.2)MHz~ 959.8(964.8)MHz
 ・PCS1800/1805.2(1800.2)MHz~ 1879.8(1884.8)MHz
 ・PCS1900/1930.2(1925.2)MHz~ 1989.8(1994.8)MHz
 ※出力レベルは-20dBm~-110dBm
 ※AM変調可能(1KHz 83%)
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JRC NJZ-2000 【② スペクトルモニタ】

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■NJZ-2000 スペクトルモニター起動方法■
(最低限のマニュアルになるよう心がけて記述しましたが、ほどんどのファンクションで画面最下段にメッセージが現れます。それを参考に進む限り大きく迷うことは無いと思われます)

リアの電源SWをON、フロントパネル左下のLINEでシステムが起動(普通のLinuxPC)。
最初のメニューでインストールされているテスターモードを選択する。

・【Config】ではRTCやネットワーク設定が可能
・GSMモードに入るのでファンクションキー【GSM】
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再構築のような挙動の後、指定したモードのホーム画面が表示される。
テストモードを選べというシステムからのメッセージが表示される(最下段)。
・【TX Analyzer】スペクトルモニタ、パワー測定
・【Signal Generator】SGの周波数/出力レベルは前回の記事に
NJZ-2000-screen-c002.jpg

GSMホームから【TX Analyzer】に入った画面。
まずは測定対象を携帯電話のバースト信号から普通のキャリアに変更する。
これを行わないとバースト待ちの状態が続き計測が始まらない。
・ダイヤルで黒丸カーソルを[Signal]まで移動させenter(=ダイヤルを押す)
・「Burst」が反転した状態でダイヤルを回し「CW」に変更してenter

[Radio System]=バンド(GSM850/GSM900/PCS1800/PCS1900)
[RF CH]=周波数設定(200KHzステップ)
[Averaging]=アベレージングを使うと表示までに時間がかかる
[Modulation]=AM変調可※/【Signal Generator】からも設定可能
※1KHz 83%(マニュアルに明記)

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[Signal]が「CW」になっていることを確認。
・ファンクションキー【SpectrumMonitor】
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トリガーがシングルモードの状態で測定スタンバイとなっている。
・【Trigger Sing/Cont】でコンティニュアス・ラン(連続スイープ開始/停止)
・【Trigger】でワンショット(1スイープ)
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スイープ中は設定の変更やマーカー操作は行えない。
・【Trigger Sing/Cont】でスイープを停止(Single/スタンバイに移行)
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ダイヤル(ノブ)をカーソル移動からマーカーサーチに変更。
・【Knob Cur/Mark】(Markにアンダーライン)
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ダイヤルの操作により座標上をマーカー(赤いドット)が移動。
マーカー位置の値が左側のMarkerに表示される。

・②【More】ファンクションメニューの次項へ進む
NJZ-2000-screen-c008.jpg

フロンパネル上のUSBコネクタにUSBメモリーを挿入(ファイルシステムはFAT32で大丈夫)。
・ファンクションキー【PrintScreen】
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スクリーンショットがUSBメモリーに書き込まれる(画像形式はpng)。
ディレクトリはルート、ファイルネームは連番xxでcopyxx.png。
サイズは画面通り640x480(下の画像はブログ用にやや縮小しています)。
NJZ-2000-screen-c010.jpg

・スクリーンショット終了後【More】で前画面に戻る
・さらに【Return】で TX Analyzerのトップ画面
スペクトルモニタでも読めるが以下は単独のパワーメーター機能。
(設定周波数に同調している感じ:スペクトルモニタよりは広い)
※この場合もスペクトルモニター同様、計測開始にはトリガー操作が必要となる。
※【Trigger Sing/Cont】でコンティニュアス・ラン(連続スイープ開始/停止)
※スタンバイ時に【Trigger】でワンショット(1スイープ)

a)カーソルが①の位置でenterすると数値とバースト信号用のグラフ表示へ進む
b)このままトリガ操作②をすれば左側の表に数値が入る(Peak TX Power)
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前画面(上)で①をenterし【Trigger Sing/Cont】で計測を開始した状態。
計測値が表示される。グラフは無反応。
※計測値がHiLimt・LowLimtに収まらないと戻った際にFailが出るが、これは携帯電話のメンテに関してのfail。計測が無効になった訳ではない。
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■実際の測定■
骨董品なれどまあまあ信用できるSG出力をそのままNJZ-2000に接続
・876.400MHz -20dBm
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NJZ-2000測定結果: 876.401MHz -20.7dBm
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シグナルジェネレター
・GSMホームからファンクションキー【Signal Generator】
NJZ-2000-screen-c012b.jpg

・カーソルを[Modulation]に合わせenter
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・項目の反転を確認してダイヤルを回し「AM」又は「OFF」に
周波数、出力レベルも同様に設定。
NJZ-2000-screen-c014.jpg

■876.4MHz -20dBm modulation OFF■
NJZ-2000-3005.jpg

上の設定を「骨董品だけど昔からの憧れ機種なので手放せないスペアナ」で計測
(恐らくスペアナの方が誤差大)
NJZ-2000-3003b.jpg




■本体の大きさ■
ある特定の世代には物凄く判りやすい比較だと。
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筐体だけ、あるいは筐体と液晶を使うとして、自作時にも手頃な大きさ。
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次回は白いNJZ-2000 docomo-FOMAテスタにダイヤル取り付け







JRC NJZ-2000 6年ぶり【① GSM Option】

2016年4月22日の記事にサラリと書いて放置していたジャン測のガラケーテスター。
電源不良で搭載オプションも少ないジャンクを入手、適当なATX電源を使って起動は確認するもジャン測的な面白さがありそうなGSMモードに入る事は叶わず。
その後やや程度の良いGSMオプション搭載機を入手しスペクトルモニターとSG動作を確認して棚に置きました。
NJZ-2000-JRC-002.jpg

先日、激安ウエブカメラの撮影モデルとして引っ張り出しましたが、ここであらためてNJZ-2000(と白い筐体のdocomo JRC-FOMAテスタ)について気付いた点をメモしておく事にします。
NJZ-2000-JRC-001.jpg



■NJZ-2000 というジャン測とその動作動画■
現役当時は携帯ショップのバックヤードに置かれていたような端末テスターだと思われます。
一時期某オークションで複数のジャンク出品がありました。最近は見かけなくなりましたがFOMAの完全終了時には再び廃棄品の放出があるかも知れません。

計測器としての汎用性はありませんが有している機能の中でアマチュアが再活用できそうなのがスペクトルモニタとSG。
下は前回の記事に記した【アマゾンで千円しなかったFHDのWebカメラ】で撮ったスペクトルモニタの動画です。

1080Pフル画面で再生すれば液晶画面上の表示も読み取れます(Youtube側のエンコードの影響なのか、開始から20秒程度は動画全体がボケていますが後半はハッキリ映ります)。
中華WebCamスゴイ。

信号源はADF4351を使ったSG基板(STM32制御のスタンドアロン)、NJZ-2000は途中でRBWを30KHzから10KHzに切り換えています(スイープを止めないと再設定できません)。



■GSM Option■
本機は組み込むオプションにより様々な(旧式の)携帯電話のフォーマットに対応するようですが、アナログ信号対応のスペクトルモニタ/AM変調可能なSG機能はGSMモードでしか利用できません。

●スペクトルモニタ周波数範囲●
・GSM850/824.2MHz~ 848.8MHz
・GSM900/876.2MHz~ 914.8MHz
・PCS1800/1710.2MHz~ 1784.8MHz
・PCS1900/1850.2MHz~ 1909.8MHz
※スペクトルモニタは上記周波数内でスパン400KHzあるいは200KHzをスイープ。
※RBWは10KHz or 30KHz

●SGの設定可能周波数●
・GSM850/869.2MHz~ 893.8MHz
・GSM900/921.2MHz~ 959.8MHz
・PCS1800/1805.2MHz~ 1879.8MHz
・PCS1900/1930.2MHz~ 1989.8MHz
※出力レベルは-20dBm~-110dBm
※AM変調可能

日本はCDMA系でありGSM形式は採用されなかった為、この測定モードを持たない(=ジャン測として面白くない)NJZ-2000も存在します。コレは部品取りを狙う以外、手を出さない方が賢明かもしれません。

↓これは購入要注意版。NJZ-2000-cdma-only.jpg

↓これはGSMオプション搭載なので◯NJZ-2000-JRC-003.jpg



■docomo指定のNJZ-2000? JRC FOMAテスタ■
サイズは一緒で白い筐体、パネルには docomo JRC FOMAテスタ とあります。
docomo-jrc-foma.jpg

電源を入れるとGSM付きNJZ-2000のシステムが立ち上がりますが残念な事にこの状態では操作ができません。
ファンクションキーで画面の移動は可能でありスペアナもどきの画面まで辿り着けるが、そこまで。画面内にある設定項目を操作できないプラトニック仕様。

分解すれば2.5インチのIDE HDD、3種類の電源基板、VGAのLCDパネルとDVIインターフェース基板、セントロ仕様(8bitパラレル)のサーマルプリンタなどが取れます。筐体は自作の際のケースにちょうど良いかも。
今回のブログ記述を機会に棚から引っ張り出し写真に収めてから予定通り分解、自分では使いそうもない部分はフリマアプリかヤフオクで処分。これで棚のスペースも確保でき、また新たなるジャンク収集に走れると考えました。

しかし 黒のNJZ-2000と同様に操作する方法 が判明しバラシは中止。
(改造方法は後日、別稿に残します)。
JRC-FOMAテスタ

Config画面によると搭載オプションはGSMオプションが3つ、U12は不明なれどNJZの「U」オプションはRFのUP-GradeKitらしい。
こいつが一番おもしろいヤツかも。
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写真下、NJZ-2000をジャンクで手に入れた際に付いてきたインストールガイドより。
G00オプションでGSMモードが追加され、校正証明も発行されたようです。
民生の携帯電話のテスターといえどもパブリックな電子機器の測定器ですから校正証明の格式もそれなりに高いものだと思われます。
G05に記された(本機種対応の)「RFアップグレードキット~」が【U12】なのかも知れません。
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その②へ続く






中華USBオシロスコープ MDSO 再び弄る

中国製のUSB接続PCオシロスコープ、機種名 MDSO。
2013年のゴールデンウイーク前にチャイナマート経由で購入しました。

当時見た商品ページはこんな感じ。付属品も同じ。
mdso.jpg

良く出来ているとは思ったけど、飽きが来るもの早かった。
2020年12月、ブログ整理中に思い出し、久しぶりに取り出す。
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構成はサイプレスの CY7C68013A +アナデバの AD9288。
CY7C68013A をオシロ・DIY関連でググるとそれなりに突っ込んだ情報も得られました。
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本機の後継機種がamazonでもそこそこの評価を得ているISDS205Aである事が判明。
メーカーはINSTRUSTAR。
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メーカーサイトにあるWindows10対応の最新版アプリをダウンロード、起動してみる。

あ~ダメだ、スイープしない、、、購入当時も落胆した記憶が甦る。
そして、あっ、そうだ!と思い出す。
右側のパネルにある緑色のランプが付いた【CH1】をクリック。
当該チャンネルがアクティブとなりランプが点灯している画像に変化、動きました。
7年前のデバイスでも切り捨てずに対応を続けているメーカーの姿勢に敬服。
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アプリ側で接続機種を自動認識しているようです。
(USBケーブルを抜くとアプリはDEMOモードになる)

括弧内は仮想シリアルポート番号でしょうか。
mdso-0005a.jpg

表示モードは単画面の他にタイムドメインと周波数ドメイン(FFT)の同時表示などもあり。
写真を撮り忘れましたがロガー機能も持っています。

画面のレイアウトや操作感は購入時に付属していた旧バージョンと大差なし。
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下の写真では振幅のスケールがリニア(mV)ですが、高調波の振幅がlogで読めれば簡単な計算でTHDも測れるなと思ったら、既に右下に表示されていました。

精度を語るには次元が異なります。しかしアンプの試験中にNFBを連続可変した際の挙動がこのUSBオシロ一台で追えてしまいます。
歪率に限らず、私レベルの工作や実験における測定では、絶対値は得られずともその実験装置内でのピーク、ディップ、フラットネスが掴めれば事足りてしまう事も多いです。
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面白くなってきたので再び基板を観察。

入力信号はダイオードによる過電圧保護を経てAD8065(高速オペアンプ)のボルテージフォロワへ。
次のAD8065とアナログスイッチ(4051)でステップアンプが構成されています。
その出力がAD9288でAD変換され、CY7C68013Aに入り、データがUSBから送られます。

3.3Vのレギュレターはロジック用の電源でしょう。
写真右上、黒いのがアナログ回路用±5V生成のDC-DCコンバーター。
(安物は総じてノイジー)
高感度領域でS/Nの悪化を感じる場合はこの辺を高品質な物に交換するか、別回路で組んだものと置き換えれば改善するそうです(後述のコンパチ物製作記事があるサイトに記述あり)。

ファームウエアは右下の24LC64に収納。

入力のアッテネーターとACカップリングが省略されている点が残念なれど、後継機種には搭載されている模様。
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ネットを探せば現行機種であるISDS205Aのファームや基板のガーバデータも手に入ってしまいます。
これらの情報で完全自作(完全複製)も可能ですが、我が国では正規品をアマゾンで買った方が安いかも。

下の回路図はISDS205Aに近いもの。
(入力部分にあるリレーの駆動電源がアナログ用電源から独立しているだけで後は全く同じらしい)

本機(MDSO)も基本的な構成は同じ。
DC/ACカップリングとATT、その制御回路を追加後、ファームを書き換えればISDS205Aに化けそうです。

MDSOではステップアンプの制御をCY7C68013AのPA1~PA6で直接制御(パラレル制御)しているのに対し、現行のISDS205A(下の回路)ではリレーコントロールの分も含めて多くの信号をまとめてシリアル化し、それを受けるシフトレジスタ(U5)が各信号に展開してそれぞれを制御する形になっています。
よってISDS205A偽装化には上記ハードの追加・改造に加え、ファームの更新(偽装)も必須。
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社外アプリを使えばandroidでも使用可能。
ウチの場合はWindows10から見捨てられたATOMのタブレット(Win8.1)が相棒となるかもしれません。
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ということで、久しぶりに弄って判明した事を覚え書き。

・MDSOとはINSTRUSTARの初期のUSBオシロスコープ。
 (帯域20MHz、サンプリングは48MS/s)

・購入当時、アプリはどこかからの流用かと思いましたがオリジナルでした。
 (他社の本体でINSTRUSTARのアプリは使用不可らしい)

・2020年12月現在、アプリの最新版はV3.11.3.0 (2020.4.29)
 XpからWindows10(64)まで対応。リンク→Multi VirAnalyzer

・Androidは社外(個人)の製作になりますが対応アプリが存在。

・USBオシロってWindows10の画面録画を併用すると凄く便利。

・接地が浮いた状態でサージをかっ喰らうとPCまで破壊される可能性も。
 ブラウン管オシロの修理などにも使わない方が良いでしょう。

・ファームを確保していれば万一にデバイスが全滅しても修復可能。
 デバイスに特殊な物は使われておらす、すべて入手可能。
 サイプレスのサイトにあるツールで基板上のEEPROMの操作が可能(要ハンダジャンパー)。

・現在はMDSO後継機種のISDS205Aが販売されている。
 アプリ側から操作できる入力ATTとDC/ACのカップリング切換機能を持ちます。

MDSOはオークションやジャンク屋で偶然に安く手に入れば実用性もあってラッキー。
そうでなければISDS205Aをお薦め。
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Shibasoku 796E 連動歪率計 ①内部点検



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ジャンクで買ったシバソクの796 E、古い連動ひずみ率計です。
ジャン測でも人気のオーディオアナライザですが、さすがにここまで古い物になると手を出すべきか否か悩んでしまう方も多いのではないでしょうか?。私も実用というより、どんな感じなんだろうと興味半分で手に入れてしまいました。

以下は入手後の点検の際に撮った写真がメインの記事ですが、ジャンク購入の際の参考にでもなれば幸いです。



到着時点では電源こそ入るもののモードやレンジを切り換えるとメーターが振り切ったりニキシー管が青紫に光ったりの状態。
(レベル計測不能、発振出力確認できず)

こんな機械に興味をお持ちの方なら上記現象とパネル面を見て最初にやるべき作業は何か、すぐに頭に浮かぶ事はずです。
スイッチの掃除。

ということで、まずはスイッチをバラすためにはどうすべきかを探りながら内部を観察。

下の写真はシャーシ上側。
恐らく1970年代の機械ですが全体的に清潔感を保っており、回路や使用部品、構造なども思ったより古さを感じません。
基板に繋がる配線はほとんどがピンコネクター使用なので基板の取出しは容易。

右下、立っている基盤がメインの正負電源。

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整然としたレイアウト。基板は全てガラスエポキシです。
おそらくジャブ(ハンダ槽)仕上げなのでパターンにもハンダメッキが乗っておりパターンの傷みは無い模様。
70~80年代の機械を弄り慣れている方であれば受け入れられるレベルの古さではないでしょうか。
茶色いベークはプッシュスイッチ。

周波数表示に3桁のニキシー管が使われていますがインジケーターとしてあるだけでカウンターは搭載されていません。

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シャーシ下側、左側中ほどの基板がウイーンブリッジか何かの低歪発振回路でしょう。基板上にゲイン制御用のランプがあります。
この基板上にもケミコンが多く見られますがストレスフルな箇所では無いはず。見た感じは荒れていますが明らかな故障は無い模様。
修理前に無条件交換などをしてしまうと余計に面倒になるので状態を把握するまでは放置。

本機で使用されているトランジスタの脚に黒ずみは見られません。

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基板には固有の番号が明記されていますが、”oscillator”といった機能の表示は無し。
基板上の入出力も電源部分は電圧が記されていますが他は信号名の記載などはありません。番号のみ。
半固定、トリマーも部品番号のみ。何を調整する箇所なのかは回路を追う必要あります。

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ニキシー管が紫色にレロレロしていた原因 ↓

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この装置唯一の高圧回路用(といってもニキシー管の点灯電圧)ですが、明らかに液漏れして容量抜け。
ニキシー管にストレスが加わるのでコレだけは即交換。

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周波数設定用のCR群。
ロータリースイッチのブレードに黒ずみあり。導通は確保されている模様。
部品(CR)の脚には黒ずみが無く綺麗な状態を保っていました。

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下の写真はCRパックを取りはずした状態ですが、ここまでが一苦労。
HPの機械のようにすんなりとは行かず、ボンドで接着されたサイドパネルの一部を剥す等の作業が必要でした。

シャーシの状態は非常に良く、修理を諦める理由が見当たりません。
どこかがボロボロなら、それを理由に諦めますがこの機械はまだ勿体無い。

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なぜCRパックを外したかというと、4グループあるプッシュスイッチを全て分解する必要があった為。
本機は入手時点でモードセレクタ、レンジ、入力インピーダンス切換、アッテネーター、全部ダメ。
どこかを切り換える度にメーター止まったり振り切ったり…、すべて状態が定まりません。
(ただしスイッチの位置を微妙に調整するとレベルが読める、正弦波が出るなど、期待できる動きもアリ)

冒頭でも述べましたが修理の前にはどうしても解決しておくべき箇所でしょう。
単純な接触不良ですが強制クリーニングとばかりに復活剤を吹いてガチャガチャ弄るより潔く分解清掃。

個々のスイッチはM3のビス2本でコンタクト/摺動部分(汚れで真っ黒)に分離可能。
ただしコンタクト両面装備のグループがあるのと配線の余裕がないので狭い所での指先作業となります。

そしていつぞやのオーディオセット同様、コンタクトのクリーニングと接点グリス塗布。

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以上の作業後に仮の組戻しを行い電源ON。

オシレターの発振を確認。ローターリーSWにやや癖があるものの周波数の設定も可能。
レンジを切り換えてメーターの針がそれなに追従する事を確認。

誤差は出ているかもしれませんが故障は無いように見えました。



気を良くして(動作に期待をして)、メーターの目盛も補修。

写真では薄く写っていますが実際は赤目盛(ログスケール)がほとんど読めない。
昔ならコンパスにカラスグチを仕込んで目盛の上書きとか、インレタで文字入れとか、やったかも。

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今回は外した目盛板をスキャン、得られた画像データーをPhotoShopで色調補正~PPCに印刷。
スティックのりで目盛板に貼る。

こんな事をしてしまうと…、
針の高さが変わるのと貼った紙と針の間に発生する静電気の影響をOMさんから指摘されると思います。
仰る通りです(反論できず)。

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赤目盛の視認性が復活。

スキャナ/カラープリンタや画像ソフトが簡単に使える現代ですが、デカドライなどのインスタントレタリングが無くなってしまったのは寂しい。
少年時代、ラジオデパート1階の奥、マルカさんの前を通るとベークやインレタの匂いを感じたものだけど。

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600Ω/10KΩ 選択可能なバランス入力部分(シングルエンドは100KΩ)。
半世紀近く前の部品ですが物凄くしっかりした作り。
正式名称は6.5mmステレオジャック…じゃなくて、238号ジャック、だったと思います。

モノラルプラグを突っ込んでいますが本来は110号プラグ専用。

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水洗いしたパネルとツマミを組み戻し。
中央のSW、モードセレクタのレタリングが消えかけているのでメモを貼ってます。

やっぱり気軽にインレタが買えてた昔が懐かしい。

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ヤル気が沸いて来たら詳しくチェックするとして、さっと見た限り特殊な部品は無く、基板/配線もすっきりしています。
アンプを自作される方なら回路図が無くとも修理調整は十分に可能ではないでしょうか。

この型の仕様は取れませんでしたが同系列・後世代ならばカタログがダウンロード可能でした。
計測器専門の情報サイト(リンク→):TechEasyOnline




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プロフィール

Dellbee

Author:Dellbee
デルビィです(少年時代にハマったアマチュア無線局のコールサインを捩りました)。
子供の頃から電子電気・機械物弄りが好きで、今も自分の時間が取れた時は何か弄っています。

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