2022/03/27
JRC NJZ-2000 【③ docomo JRC-FOMAテスタ フルコントロール化】
ガラケーテスター JRC NJZ-2000の亜種でありながらジャン測的に使い道を見い出せないFOMA端末試験専用機のdocomo JRC FOMAテスター。
操作部の追加により利用可能になったスペクトルモニタとSG。
SGは各バンドで上限下限が黒のNJZより若干拡張している(本稿末に記述)。

入手時点ではルートメニュー2ページ目にある【F-TESTER】(FOMA tester?)というGUI的な大文字画面のガラケー自動試験アプリだけが起動可能で、他の計測器風な画面はメニュー間の移動ができても数値のセット/エンターが出来ず使用は不可能。
ファンクションキーにプリントされた記号や文字は【F-TESTER】内での操作のみに対応。
內部構成はRF部CPU周辺共に黒から若干更新されている印象。
USBはリアに一つ、フロントはプリンタのロール紙収納部の奥に配置。これらのUSBでスクリーンショット書き出し用のUSBメモリは使用可能。マウス/フルキーボードは計測アプリ上では認識されず(BIOS~OSレベルでは使用可能)。
フロントパネルは内側4箇所の爪で固定。

フロントシャーシ分離は左右2本ずつと下に3本のM3皿ネジ。

フロント裏側。 スイッチ群やバックライトコントロールからの配線が集う基板がおそらくIOインターフェース(下の写真・赤円内)。


その他は液晶とDVIのインターフェース基板、サーマルプリンタとそのインターフェース(コントローラー)基板など。これらは単独で流用可能。
※LCDパネルとCCFLインバーター、インターフェース基板でVGAのDVI/HDMIモニタとして使用可能。HDCPが無いのでXびでおは見れてもDVD鑑賞はNG。
※プリンタとそのコントローラーはSII(セイコーインスツル)の標準品であり、ドライバも入手可能。接続はセントロニクス準拠かと思ったがこの基板はRS-232Cタイプ(マザーボードに繋がっているケーブルは確かに2本)。
装置内でこのプリンタは【F-TESTER】アプリ専用らしい。他の計測アプリではスクリーンショットの出力先としてファイル出力かESC/Pプリンタ(エプソンのカラリオ)を選択可能だがサーマルプリンタは選択肢になく無反応。
サーマルプリンタはそのうち取り外しWindows10+USBブリッジで遊んでみる予定。一色刷りの狭小プリンタなれど業務スーパーに行く際のメモプリンタが欲しかった。
この基板上に怪しい5Pinの空きコネクタを発見(赤矢印)。
RF IN/OUTがフロントにあり、プリンタは未搭載なのでレイアウトが異なるがLCDインターフェースやCCFLインバーターに加え、なんか見たことある基板がローターリーエンコーダーの後ろあたりに存在する。

一見して白機/黒機、どちらのI/Oインターフェース基板も部品配置は同じ、シルク印刷の記号番号は若干異なる。

マイクロコントローラーが載っているとしてファームが異なる可能性は十分に考えられるが、白機のdocomo JRC-FOMAテスタでは空きだった5Pinのコネクタにロータリーエンコーダーが接続されている。
#1=+5V
#2
#3
#4=GND
#5
岩通製の光学式(プッシュSW付)、A/B相はCーMOSシュミットトリガ出力。
(白いキャップを外し74HC14があるのを確認)
コレを白につないだ所、極めて自然にカーソル移動とエンターが実現。
この部品を手に入れさえすればGSMモードでのマニュアル操作はあっさりと叶う。ジャンクから剥がすなり新たに購入するなり、あるいはフロントAssy交換の白黒パンダとすればdocomo JRC-FOMAテスタもconfig設定やマニュアル計測が可能になるが、コレは結構な高級品。このためにNJZ-2000をバラすのは切ないし、かと言って新品購入はそれなりに高価。オークションでの外し物ジャンクの出品も期待薄。
ということで今回は手持の部品を使って操作部を製作する事に。土曜の夜、30分で片付くと思って作業を始めたら朝になりました。
さほど古い機械でもないのでロータリーエンコーダーのチャタリング対策はソフト側で十分になされているだろうと推測、手持のメカ式とC-MOSのシュミットトリガで試作。
パーツケースを漁っていくつかのロータリーエンコーダーをピックアップ。
パーツケースを漁っていくつかのロータリーエンコーダーをピックアップ。
90年代、秋月で普通に販売されキットにも使われていたアルプス製のEC16Bと、00年代初めにALPS製と置き換えられた模様の台湾ALPHA製(EC16Bのコンパチ品?)。
秋月ではアルプス製の取り扱い終了後もしばらくはアルプスのデーターが入っていたらしい。

確かにいくつかある手持のうち1つがALPHA製で添付データーはアルプス。

まあそんなことはどうでもいいやとALPHA製を使って組んだところ、シュミット通しても消しきれないチャタリングに反応しているようでカーソルが暴れる。

ALPS製に換えても現象は変わらず。中国製のマウスホイール用で試しても同じ。
クリック位置での位相どうのこうのより単純にどうしても現れるチャタリングを早々に位相信号として取り込んでしまっている印象。
2000年の春、秋葉原の計測器ランドでジャンクのスペアナ(TR-4132N:75Ω版)を買って喜んだ後、鈴商に寄った際に見つけて一個数百円で購入した記憶。
22年後の春に初実装。
クリックがないので若干ふらつく感はあるが純正の岩通製同様スムーズに操作可能となる。
80年代でもC-MOSロジックの未使用入力開放でICを壊す話は散々聞いたけど実際に壊したヒトは知らない。
脳がラッチアップしたりスタックフローして人に迷惑を掛けるヒトはたくさん居た。心が多重割り込みに対応できず涙流してキレるヒトが一番怖かった。

使い古しのユニバーサル基板と、それに張り付いていた18KΩの抵抗2本もそのまま使用。

NJZ-2000のダイヤルプッシュ式エンターは高速回転時に誤操作することもあるが、タクトスイッチを使った分離式はその危険もなく操作感は悪くない印象。

本機は外形同寸な3種類の電源基板やカードケージ式のCPU/RF基板などで構成され、比較的分解しやすい構造です。一時期のジャンク流通後、バラされ基板単位でオークションに出品されていたこともあったようで、私も使い込まれていた初代NJZ-2000の修理用に電源ユニットのみも落札させていただきました(3種類/各5枚、計15枚1セットを落札:今も4セット分が待機中)。

■まとめ■
ダイヤルに関しては機械式のエンコーダーしかない場合、Attinyや小規模PICなどで波形を正規化するか、もしくはダイヤル操作を諦め2つのタクトスイッチ(戻る/進む)でロータリエンコーダーのA相B相をシミュレートするような回路を組む手もあると思われます。
完品のジャンクについてはFOMA終了時に最後の放出があるかも知れません。
取り組むかどうかは定かでありませんが、今後の課題は周波数の変更です。
おそらく本機のRF部分にはアナデバ製のICが使われており、そのパラメーターの変更が叶えば面白いことになるはずです。6年前にサラリといじった際、システムに入りrootも取れた記憶があるので将来なんかのきっかけでチャレンジするかも知れません。
・GSM850/824.2MHz~ 848.8MHz
・GSM900/876.2MHz~ 914.8MHz
・PCS1800/1710.2MHz~ 1784.8MHz
・PCS1900/1850.2MHz~ 1909.8MHz
※スペクトルモニタは上記周波数内でスパン400KHzあるいは200KHzをスイープ。
※RBWは10KHz or 30KHz
※オートレンジ(キャリアピークがリファレンスレベル)
●SGの設定可能周波数●NJZ-2000/括弧内はdocomo JRC-FOMAテスタ
・GSM850/869.2(864.2)MHz~ 893.8(898.8)MHz
・GSM900/921.2(916.2)MHz~ 959.8(964.8)MHz
・PCS1800/1805.2(1800.2)MHz~ 1879.8(1884.8)MHz
・PCS1900/1930.2(1925.2)MHz~ 1989.8(1994.8)MHz
※出力レベルは-20dBm~-110dBm
※AM変調可能(1KHz 83%)
