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ProLite E2607WS iiyama 25.5inch すぐ消える液晶モニタの修理

LCDモニタ iiyama PL2600 ProLite E2607WS 修理記

飯山の25.5インチ、CCFL(冷陰極管)バックライトの液晶ディスプレイです。
解像度はWUXGA(1920x1200)、入力はHDMI/DVI/D-sub。

2009年8月アマゾンで購入。自宅で職場でかなり酷使してきましたが7年以上ノントラブル。
昨年の秋、伊東に持ち込んだ後も東京とのテレビ会議ごっこ(もう秋田)、ジャンク物色(最近はいーべぇに憧れ)、アマゾンのプライム映画などに活用、点けっぱなしで寝たりと相変わらず雑な扱い。

今年の1月下旬に良くあるタイプの故障が発生。

”液晶ディスプレイ すぐ消える” 
(多くの人が救いを求めて検索している語句)

e2601ws_repair_001.jpg

直せばまだまだ使えるかもと面白半分で取り組めるのはジャンクで買ったモニタの場合。
コレは自分が使い込んだ物なので寿命を覚悟。もしそうだとしても元は十分に取ったという醒めた思いが先走り、喫緊の修理は行わず仮設ジャンク置き場で越冬。



■故障現象■

電源を入れると数秒だけバックライトが灯り、その後は真っ暗。
電源投入直後のメニューボタンでOSDの青い表示は確認できるのでロジック回路が(完全に)壊れている訳では無さそう。

バックライトもしくはその駆動回路に問題が発生し保護回路が働いているような印象です。
ケミコン不良~交換で復活などと甘い夢は当初から描いていませんが、かなり使い込んだ固体ゆえ冷陰極管に寿命が訪れ、それをプロテクタが検知してインバーターの動作を止めている可能性も大いに有りうると考えました。

e2601ws_repair_002.jpg

寿命が来た冷陰極管の不完全点灯はそれなりにヤヴァいはず。特に大画面となると駆動回路の電力もそれなりに大きくなるので発熱による火災等の危険を回避するための保安回路は必須でしょう。ネットにある他機種の回路図を見るとインバータートランスの2次側(出力側)は単に冷陰極管に繋ぐだけではなく、出力電流の一部をコントローラーに返し(フィードバック)、制御や動作監視を行っているようです。それらの働きにより異常時はインバーターの動作停止で画面は真っ暗。

酷使された大型テレビのジャンクもほとんどが真っ暗か、ぱっと点いて消えますね。



■分解■

春、部品取りとしてヤフオクにでも出すかなあと雑巾で拭いているうちに中身を見たくなり分解。
ビスを抜いてから例の分解工具を使いましたが結構しっかりした組付け。

左がインバーターを含む電源、右がロジック部。思ってたより綺麗。
冷陰極管のコネクタは4個(4本使い?)でした。

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基板とLCDパネルはスチール製のフレームに組み付けられており、パネルの型番を調べるにはバラす必要あり。
型番が判明すれば高確率で仕様書(PDF)が取得できますが、アルミテープを剥がしたりとか面倒なので調査は省略。


ロジック部の基板はおそらく正常。
使用コントローラーはRTD2589TD、パネルのインターフェースはLVDS2ch8bitに間違いないと思います。
右上部分はD級のオーディオアンプでしょう。
インバーターのON/OFFと輝度もこの基板側でコントロール。

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写真下・電源基板。
ロジック用の電圧、インバーター駆動用の電圧はともに正常。
明らかな平滑不良/リップル増大という状態ではないので本案件ではケミコンに責任なし。

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■CCFL側の検証■

冷陰極管の状態を確かめてみる事にしました。

4本の全てが全く同時に寿命を迎えるとは考え難く、1本が逝ってインバーターが止まっている気がして止みません。それを検証すべく全ての管に電圧をかけ、他とは違う灯り方の物があればそれが原因と判断し、このディスプレイを諦めることにしました。

さて、どうやって点灯実験をするか?。
フィードバックに用いる電流検出回路は冷陰極管1本毎に有り、おそらくは4本分をまとめて(ワイヤードOR:1本でも「変」なら結果は「変」)コントローラーに還しているはずです。この部分をごまかすことでインバーターを強制的に動かすこともできそうですが、基板を裏返して動かすのが面倒、部品が細かい、電圧が高くて嫌(ビリビリ感じたくない)。

反応が微妙になるのは承知で他のインバーターを繋いでみることにしました。
伊東に持ち込んだパーツケース群をゴニョゴニョして実験用のインバーターを探す。

aitendo-ccfl-inverter.jpg



aitendo関連の箱からコネクタの合うインバーターを発見。
よりによって手持の中で一番小さいヤツ。コレで1本ずつ光らせてみることにします。

トランスの大きさも大人と子供だけど、完全点灯は最初から目的ではないし。

aitendo-ccfl-inverter-2.jpg



例によって古~い安定化電源で駆動。5Vかと思ってたら3.3V? 

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このインバーターのパワーでも半分は光りました(おそらく極を変えれば反対側が明るくなる)。
問題は光り方が4本ともほとんど同じ。
どれか1本がオレンジ、あるいは全く点灯しない事を予想していましたが見事にハズレ。

オイオイ、冷陰極管は4本とも活きているのでは?

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●定格で点灯させていないので現象が出ていないという考えも記しておかないと「レポートとしては不完全、考察が足りない学生は夏休みの週末も研究室に来い」となります。ヤダヨ。



■インバーター側の検証■

父親の介護中に弄った東芝のテレビ(REGZA 32H3000)もバックライト不良でした。
時間が経つと暗くなるので当初は冷陰極管やインバーターの部品劣化を疑うも、ふと画面の向きを変えようと角を持って引っ張ったところ筐体のたわみと同時に画面が正常な明るさに。
原因はインバーター基板の半田クラック。

今回は…、そうではない。

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下の写真、ほとんど新品時と変らないような1次側に対し2次側はパターン全体に焼けが見られます。でも使い古した機械ならこんなん普通。上部中央付近にインバーターのコントローラー、その左右にDual Power MOSFET。

上の写真と見比べ易いよう、下の写真は左右を反転しています。
e2601ws_repair_006.jpg



テスターを当てながら軽くパターンを追ってみました。
インバータートランスの駆動は思ったよりシンプル。

デバイスが飛んでいるような形跡は見られず。
MOSFETが逝ってたりすればココだ!とヒャッハーできますが、この辺は残念ながら?健全。

コントローラーはMP1008ES。このデバイスを使用した回路図は拾えるもデータシートは出てこない。
おそらく別物の型番を変えただけ=典型的な中華デバイス。

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POWER MOSFET STM6962

stm6962.jpg




■原因■

コントローラー多分正常、MOSFET飛んでない、CCFLまだ寿命アリ。
残るはCCFLに繋がるフィードバック関連のゴチャゴチャした回路かトランス…。
今までスルーしていたインバータートランス2次側の導通を見ると、えっ、片方は無限大。

インバータートランス2次側が断線。

原因はコイツ。高価な部品はみんな使えるのに。

故障の根本原因まで究明するなら何故コイルが切れたのかを検証する必要がありますが、経年劣化しつつある管を点灯する際の過渡的な過負荷状態とか運悪く寒くて冷たかったとか。細い線の割に電力扱ってるし一杯巻いているし、破壊的ストレスとは無縁の部品だとは言い切れないと思われます。
的確な解は出せませんが今は教授からレポート提出を求められているワケではないので「経年で球が切れるのと同じかな?」程度でお茶を濁しておきます。

コイルはエポキシでカチカチに固めてあるので修理は不可能。部品として単独に購入できれば数百円でしょうが今時の日本でコレ買うのはかなり困難。今が我が国の製造国時代なら東名電子産業の広告を探すのも一つの手だったかもしれませんが、昔からコイル系は他の部品より手に入れ難い印象があります。

型番検索したところ、キリル文字を使ったサイトが幾つかヒット。
ロシアの部品屋には200個以上あるような感じだけど注文なんかできない。

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最も現実的な修理方法は液晶割れなどの同型機ジャンクを手に入れてニコイチ。同じ現象の故障機だとしてもインバータートランスは1台2個使いなので1個は取れます(ゴミもたくさん残る)。



■修理■

GW直前まで毎晩ヤフオクで型番検索を続けるも、この機種は結構高価。
そしてふと思いついたのが、トランス単体が買えないなら基板ごと買う案。

考えてみればこの電源基板が飯山のオリジナルであるはずがなく、飯山のモニタ自体、仕様が合致したユニットを組み合わせて製品化しているとすれば電源基板も一つの部品として流通している可能性があります。表面に型番らしき文字あるし。

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FSP065-3L03 或いは 3BS01882
ダメモトでタオバオ内を型番検索したところ複数の店舗でこの基板の新品が買えるという事が判明。
コレが手に入れば半田も使わず修理が終わるじゃん(他に故障がなければ)。

しかし売ってるのはタオバオ登録店。
これがまた曲者で一見して豊富な在庫数を謳ってはいますが、いざ問い合わせると「そんなもんナイヨ」という答が返ってくる可能性も大。
幸いにも単価が安いので(日本円で千円以下)、送料手数料は掛かるけど面倒な事が一切無いチャイナマートさん(日本人向けの代行業者)経由で在庫確認・見積依頼。

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同時に冷静になって予算シミュレーション。

●利用できそうなジャンクをヤフオクで落札したとして¥2000程度+送料¥2000以上

●買う気ないけど信頼できそうな出品者の動作品¥7000~(送料別)

●連休中に秋葉へ行くとして、ジャンクを買ってから帰りにママに電話して四谷の肉屋で鳥の竜田揚げを夕食のお土産に買い、遠回りになるけど千駄ヶ谷に寄ってエクセルシオールでパスタとコーヒー。間違いなく五千円以上必要だけど、今年は伊東、本当に秋葉へ出るとしたらもっと掛かるしママは渡米中。

ということで、修理を楽しむという言い訳込みで¥5000-を予算としました。
無駄になったとしても連休中の小遣いとして諦めますが、修理はおそらく叶うという自信有り。

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●LINK/チャイナマート(chinamart.jp)



・商品代金  ¥1,858(安かったのでつい2個注文)
・代行手数料 ¥500
・国際送料  ¥2,147
・国内送料  ¥206
・JNB→JNB振込手数料(2回)¥108
------------------------
合計¥4.819-(代金は見積時のレートによるもの)

------------------------

・4/26 在庫確認依頼
・4/27 在庫有・見積額の連絡
・同日 正式に注文・JNB口座に代金と手数料を振込
・同日 買い付け完了の連絡
・5/04 チャイナマートさんに入荷
・同日 送料をJNB口座に振込
・同日 発送完了連絡
・5/07 商品到着

下はEMSの追跡情報ですが国内の普通郵便と同じ程度の配達日数。

20170507_001.jpg



中国からこんな荷姿でEMSが到着。
日本宛の梱包はチャイナマートさんによるもの。電子機器の取扱歴も豊富なようで梱包に不備はなし。

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お~、なんか感動。
当初は入手など全く期待していなかった新品の電源基板。

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当たり前だけど同じ物。
そして外し物や再生品では無く新品。

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こうしてみると一方にはそれなりの使用感が漂っています。

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目視で基板に破損なし。動作試験は製造段階での検査をパスしたようなチェックマークが基板に複数書かれているのでそれを信頼。自分では基板単体のテストは特に行わず本体に繋ぎ込み。

ここまできたら新品の電源が不良で煙が出たとしても潔く受け入れて諦めます。

入力メニューが綺麗に映ることを確認。

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一時は寿命だと諦めた物の修理が叶い、喜びの組み戻し。

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後ろ側の筐体は風呂場で洗浄(温泉付き檜風呂)。

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当然ながら輝度の低下は起きているはずですがムラは感じません。
もしかしてこの機種は頑丈な部類なのでしょうか?。

e2601ws_repair_204.jpg



画像も普通に映ってます。

e2601ws_repair_205.jpg
九段下の高速下。外堀通りの後楽園付近に繋がる道。
あいあい橋近辺?(2016年5月)




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プロフィール

Dellbee

Author:Dellbee
デルビィです(少年時代にハマったアマチュア無線局のコールサインを捩りました)。
子供の頃から電子電気・機械物弄りが好きで、今も自分の時間が取れた時は何か弄っています。

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