2014/10/06
E2271HDS iiyama 21.5inch 液晶モニター 修理(1) 分解・検証
Prolite E2271HDS (iiyama PLE2271HDS-B1)イイヤマの21.5インチ・液晶モニター修理記録です。
電源入らずのジャンク品ですが修理前から扱いがやや乱暴、故障原因の追求も去年7月のアクオステレビの時のような執念深さに欠けていた気がします。
数回に分け、秋月の部品を使った電源の作り直しまで書き残すつもりですが、こんな事しなくても直ったような気がして止みません。

以下にグダグダと、読み疲れるだけの備忘録を残しますが、その前に。
同型機の修理にチャレンジされる方は決して先走らず、まずはプロテクタの不良を確認してください。
ロジック基板表側、下の写真と同じ部品が6個見つかるはずです。本来は外部からライン上に乗る可能性のある正負の過電圧から回路を保護する為のものです(ダイオードの集まりですが、接続する事によってライン上の波形が鈍らないよう低容量=ローキャパシタンスも保証されている)。
今回の個体に限っての可能性もありますが(本音は他でも出ていると思う)、この部品の故障モードが低抵抗化のような気がします。以後、タンタルコンデンサのように短絡へと走るのか、低抵抗値を維持するのかはわかりません。
開放とか短絡とか、潔い逝き方なら不良箇所の特定も楽ですが、中途半端な変質は周囲(回路設計)の余裕分でフォローできてしまう場合もあり、音を上げて現象が現れても電源を切り時間を置くと復活したり…。この手は修理に悩まされます。
また、想定外の動作で他の部品をジワジワと痛めつける可能性もあります。ウチではRaspberry PIのD1が(短絡時と比べて)ゆっくりと燃やされました。
このデバイスの2ピンと5ピン(真ん中と真ん中)の抵抗値を測り(インサーキットのままで大丈夫)、極性に関わらず低抵抗(私のジャンクでは20Ω程度)の場合、これが原因でレギュレターが過負荷を検出、セルフプロテクトに移行している可能性があります。
だとすれば剥がすだけ(カッターで足の根元を切ればコテ不要)。

Raspberry Piだとオリジナル回路図2枚目右上のD1。RasPiも他のHDMI機器同様、モニターからEDIDを読み込む為に、モニター側にあるシリアルROMへ電源を通していますが、モニター側でココが低抵抗でGNDに落ちていたとしたら?。RasPiではD1の前あるいは後ろにポリスイッチ他、このラインにおける電流の制限・過電流保護は設けられていないのでRasPI側の電源がバテない限り想定外の電流が流れ、じわじわとD1が燃えます。

この個体はHDMIで気付きましたが、DVI、VGAも各信号・DDC(EDID)に同様のデバイスが置かれており(基板上、全部で6個)、これらが変質しているとHDMIの18番=電源ラインほどヤヴァくは無いはずですが、過負荷の可能性は有り。勿論データーラインにも影響を及ぼします。
↓ProLite E2271HDS のHDMI入力部分の回路(の一部)

下、例えば右端のツェナーが経年劣化して抵抗化、あるいはツェナー電圧の低下を起すと、、、
モニターのコンセントが抜けてる場合は①③④⑥に繋がれた信号は低抵抗でGND方向へ引かれます。
コンセントが入っている場合(電源OFFでもロジック側の5Vは来ている)、⑤はモニター回路の電源にも結ばれているので想定外の負荷が出現した事になります。場合によってはレギュレターが過電流を検出しセルフプロテクトモードへ。
今回はこれらの問題を後回しにして電源のレギュレターだけを疑い、それを外してバンバン電流を流せる外部の安定化電源で動作確認をしてしまいました。=過負荷を考えませんでした。
電源を疑う前にこの辺を洗い、おかしければ除去することによってロジック部の電源が過負荷から開放され、正常な動作を取り戻すかもしれません。

AZC199-04C。ネット上にデバイスのデーターシートあり。
日本だとロームとかが得意な分野だと思います(勿論今回はロームー製ではありません)。
…以上、10月4日、秋葉の帰り道にぼんやりと頭に浮かんできて。
メーカーの方法はどうだか知りませんが壊さずに済んだ分解方法です。
脚をドライバーで外してから筐体の合わせ目にプラ製の分解工具を差し込み、そのまま手前あるいは向こう側に分解工具を移動するだけ。
テコのようにこじりたい気持になりますが工具・筐体共にそんな強度は無く、差し込んだままスライドした方が安全確実(この手の分解は一度解ると病み付きになりそうなほど簡単です)。
※工具を深く差し込み過ぎるとかみ合い部分を傷めます。

ipodの電池交換の際、アマゾンで買った交換用電池に付いてきた物です。
以前はギターのピックやハーゲンダッツのスプーンを削って使っていたけどコレが一番使い易い感じ。

他の辺に移動すると再び収まってしまうので間抜けな繰り返し防止に雑巾を挟む。

構造は写真の通り。フロント側(ベゼル)の穴がリア側のフックに収まっていました。

リア側のフックです。殻割した後にこれを見て、ちょっとドキっとしました。
分解工具を深く差し込み過ぎるとスライド時に工具で掻き削ってしまう可能性があります。

かみ合い部分は以下の通り。

地震が来るとすぐに判るほど自立がベロンベロンの原因は脚がリアの殻に付くだけ(フレームレス)。
VESAアーム非対応ですが、この時点で自力対応になりました(やる気は無いけど)。

使用パネルのメーカーはよくあるAUO。
現時点(2014.10) ”m215hw01 v6 pdf” で検索、仕様書のDLは可能。
TNパネルでRGB各6ビット+HI-FRC(変調?)、輝度250cd、コントラスト1000:1、レスポンス5ms。
インタフェースはデュアルチャンネルLVDS。EDID-ROM非搭載。消費電流 標準で1A弱。
バックライトLEDは 33V/20mA(LEDライトバー1本の値)
スペック的には普通のフルHDパネルでしょうが、なんかの拍子にパネルだけが欲しくなった時とか中古でも入手は容易ではないだろうし、最悪これだけでも元は取れたかな?
(という腑抜けな考えが故障探りに悪影響を及ぼす…)

バックライトドライバー(DC-DCコンバーター)とロジック+電源が別体。
今回は写真右側のロジック+電源側が故障で、それを弄ったらバックライトは問題なく点灯。ということでバックライトドライバーは弄っていません。

21.5インチとなると結構な大きさと重さ、途中で壊したら大変なので基板だけでテスト。
確かに待機時でも来ているハズの5Vが出ていない。
ところがテスターで探っていたら突然電源がON。

電源は2系統。最初は5Vと3.3Vかと思いました。
しかしパターンを探っても右側のインダクターはその横のD級アンプにしか繋がっていません。そして電圧は出ていない。オーディオは後でいいやと放置して、後から気付いたのは音量0の時、コントローラーからミュートが入りオーディオの電源が落ちる仕様でした。=壊れていなかった。
左側のインダクターはLCDコントローラーの方に繋がっており、おそらくメイン電源。
偶然電源が入った状態で電圧見ると確かに5V振っています。

レギュレターはロジック部、オーディオとも MP1584 というIC。
この型番で検索すればデーターシートも落とせます。
3A 1.5MHz 28V STEP-DOWN CONVERTER とありますが、要するにスイッチング周波数 Max1.5MHzの FET内蔵型Max3Aのスイッチングレギュレター。電圧は設定により任意。
データーシートによると3ピンに電圧制御ループのコンペンセイターとしてCRを外付けするようになっており、基板内でも確かにCRが接続されています。ここを指で触るとレギュレターが起動します。
その動きが昇天間近のデバイスがフラフラしている状態に思え、、、思い込んでしまったかも。
別の要因など考えもせず、電源ON-OFF操作に難あれど電源が入るなら、HDMIから信号を送れば自動検出してモードがHDMIとなり、モード決定のオンスクリーン表示が出て背景には画が出るんでないかいと、先を急いでバラック状態のまま液晶と基板をつなぎ、HDMIへこの夏に遊んだトイビデオのHDMI出力を繋ぎました。
レギュレターの3ピン触って強制的に?電源ON。

オンスクリーンディスプレイさえもノイズにまみれた状態、HDMI入力が表示されるが<機器が接続されていません>。ホットプラグは検出するもののその後の接続の確立ができず、なんとも中途半端な動きでDCもかなり汚い。

トイビデオカメラはいつのまにか電源が落ちてる(他のモニターならHDMIでの接続が確立し、再生モードで電源ONを維持しているはず)。
別のビデオカメラで同じ事をするとカメラのポリスイッチが切れたようで、カメラが数分沈黙。
この辺で真剣に考えれば良かったのですが、介護終って気持も弛んだみたい。
何も考えず Raspberry PI を繋いでみたら、臭い、煙、D1が燃えてる…。
おそらく入力のプロテクタかなんかも変だと理解はしつつ、ならば電源を直した後に手をつけようと、安易に問題を切り離してしまいました。
で、再び思考は電源へ。3ピンに触れれば起動、かつ負荷が掛かると出力が汚くなるという現象からデバイスの劣化か、あわよくば定数を少しだけ弄ればイケるかもと、それだけに拘ってしまいました。
(秋月の袋は100円ショップのプラケースにぴったり。)

この後、諦めて別に電源を作る事にして、レギュレターはラジペンで割りながら剥がしてしまいました。
最初にインダクターだけを外して(レギュレターと負荷側を分離)、負荷側の抵抗値を測る等の基本を省略。今回はなんか節々で作業がいい加減。

下っ腹が放熱パッドになっています。
チップワンストップで検索すると注文は可能。かといって1個だけ通販するのも…。

矢印の部分に外部から5Vを加えると絶好調で動きます。
じゃあ、秋月行って適当な5Vの電源を組もう、入力のプロテクタはそれから点検するとして、このジャンク修理は一段落だなと。
先日、部品を買いに秋葉へ出て気分リフレッシュしての帰り道、あれれ?。

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