2011/04/12
アナログ式CPMメーター回路図
簡易型ですが、アナログCPM(カウント/毎分)メーターの回路図です。ぱっと見て、ああ、なんだ、こんなもんなの!と思われたOMは軽く流してださい。
実は東北地方に住む私の姪(中学3年生)からメールが届きまして、夏休みに課せられる自由研究のテーマをガイガーカウンターの製作にしたいという内容でした。
震災で怖い思いをして今も不自由な生活を強いられつつ、しかしそれをきっかけに新たな学習に取り組もうとする前向きな姿勢に感動しました。未来の科学者を応援せずにはいられません。
ということで、以下、ちょっとくどい記述をしてしまうかもしれません。

高圧部とBEEP音発生部分は4月4日にアップした回路そのままです。
追加でC-MOSのオペアンプを使った積分回路を組みました。
GM管からのパルスがシュミットトリガのインバータで正方向のパルスに整形され、最初のオペアンプ(U1)に入ります。
1パッケージ2個入りのオペアンプを使った為に入れましたが、タダのボルテージフォロアであまり意味ないです。
ダイオードは無視して、R1とC1が積分回路です。電子工作から電子機器の自作設計にステップアップする為には避けて通れない回路です。
波形成分を絞ったり、パルスを遅らせたり、時間軸に沿って送られてくるパルスを電圧に変換したりができます。
糸口を掴むまではやや難解な理論や公式に襲われますが、ここでは超簡単に信号の流れだけを説明します。
この回路例では+方向のパルスがU1、ダイオードを経てR1を通り、C1に流れ、これを充電します。
充電電流はパルス状であり、抵抗(R1)も通る為、C1は一気に満タンになりません。
パルスが入るたび少しずつ充電され、電圧が上がります(パルスの巾が広ければ1パルスあたりの充電量も増加します)。
このC1の電圧こそが積算されたパルス数となるわけですが、C1には直接電圧計や電流計を動かすほどのエネルギーはありません。
ということで、パルス数を示すC1の電圧を2個目のオペアンプ(U2)を使って測定します。
(ボルテージフォロアのバッファを入れるとか、緩衝増幅器とか、言い方はさまざま。)
使用したオペアンプはFET入力で入力インピーダンスが非常に高く(ほんのわずかな電流しか流れない)、U2の入力電流によってコンデンサC1の電荷が短時間に消費される事はありません。
そしてU2は電圧比1:1のアンプですが、出力電流はメーターを振らすのに十分な力があります。
U1と積分回路の間にあるダイオードはパルスにより充電されたC1の電荷が充電とは逆の方向に流れ、U1で消費(放電)するのを阻止しています。
最後にR2はC1をゆっくり放電させる為のものです。回路図の値よりもう少し大きい方が良いかも知れません。
測定用のU2にはほんのわずかな電流しか流れませんので、C1にはかなりの時間、電荷が蓄えられます。
=このままでは短時間であろうと長時間であろうと積算により、やがてC1が飽和、メーターは振り切った状態を(長時間)維持してしまいます。
そこで人の目に留まる程度のスピードで緩やかにC1を放電させ,メーターの指針を下げますが、あくまでも「緩やかな放電」であり、強烈な数のパルス電流がC1に流れた際にはR2による放電量より充電量が勝り、メーターの指針は上がります。
R2を使わず、たとえば1分経過後にC1を強制的に放電させてしまえば、言葉通りのCPM計数ができますが、私が過去に弄ったガイガーカウンターではそのような回路はありませんでした。
もしアナログメーター式でも、計測を1分後にリセットしているのならば、「今なん秒経過あたり」というアナウンスが必要になりますし、危険値に達している場合、計測に1分もあてがっている余裕は無いはずです。
こんな回路でも、あとは積分回路の充放電曲線とメーターの目盛を揃えれば、それなりのガイガーカウンターと同等になるのではないかと思いますが、さて。
校正ですが、これも冷静に考えてみました。
100CPMですが、文字通り1分間に100発の検知パルス。
ランダム発生という特性に対してはR2のフォローに任せたと都合良く考え、約1.67Hzの周波数です。
周期で考えましょう。0.6秒間隔でパルスが入れば、「その瞬間は100CPM相当の状態」ということですね。
=乱暴ですが、100CPM相当の状態を0.6秒で検知、判断できるわけです。
==やや乱暴?程度に置き換えましょう。
0.6秒に2発は偶発として、6秒に10発、ここまで来ると1分まで待たなくとも100CPMを予感させますし、実際この6秒間は100CPM相当の数値として、メーターが100CPMを指してもウソにはなりません。
長周期の周波数カウンターなどで用いる、いわゆる「レシプロカル」的な考え方です。
(追従の遅いアナログ電流計でも、さすがに6秒もあればフルスケールまで振らせる事に問題はないでしょう。)
本回路の場合、ロジック回路からDCで積分回路に結ばれていますのでGM管での計測時と同様のパルス巾&振幅(ロジック電圧)を持つ1.67HzをU1に加えた時、100CPMになるようにU2とメーター間にある半固定抵抗(R3)を調整します。
(具体的にはシグナルジェネレターのデューティーを調整後、ゲートを通した1.67Hzを加えます。)
ローカウントの方は積分器のR1で行いますが、相互に影響しますので調整は数回繰り返す必要があります。
また充放電曲線はリニアではないので、最終的にはU2の出力をさらにリニアライズ、またはメーターの目盛を書き換える必要があると思います。
簡易にはエミュレートパルス=1,67Hzでフルスケール、0.84Hz(50CPM)で半分、みたいな感じでも良いと思います。
もっと省略するとU1の3ピンをロジックの「H」レベル固定でメーター110%あたりに半固定を調整。
BGが20CPM程度ならメーターピークで10~20程度になるようR1を選定、メーターの単位を「LEVEL」などにするのもアリではないかと。
最後に部品ですが、オペアンプは手持ちの都合でTiのTLC27L2CPを使いましたが、FET入力の物であれば他でも問題ないと思います。
(TLC27L2CP=RSオンラインでも99円です。)
ダイオードは昔的普通の小信号シリコンダイオードですが、ストロボ基板から剥いだ高圧用でも大丈夫でしょう。
メータに付いている2個のダイオードは実験中に高価なメーターを壊さないようにする為の物です。無くても問題ありませんし、小信号トランジスタ(2SC1815など)のベースとエミッタだけを使うという手もあります。
検知LED回路は2デバイスのLEDを使い、明るく光らせたかったのでC-MOSロジックのシンクイン(L時の吸い込み電流)が足らず、トランジスタを入れました。
ここまで、学研のマイキット(!)みたいな環境でバラック実験を続けてまいりましたが、かわいいSI-3BGも含め、もう少しグレードアップし、不安を煽らない程度に(個人的な)長期観測に堪え得るものを作って行きたいと思います。
CPMメーターの動きを見るために少し?高めの電圧で動かしたSI-3BGです。
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コメント
管理人のみ閲覧できます
2011/08/22 10:42 by 編集
管理人のみ閲覧できます
2011/08/22 13:55 by 編集
アナログ式CPMメーター回路図
先日、お邪魔したewa512と申します<(_ _)>。
Dellbeeさんの回路図を参考にアナログ式CPM回路が無事に作動しましたのでご報告いたします。
これ、とてもグーですね。大変、気に入りました。
年寄りなもので、アナログ式で見れるはありがたいです。
メーターの較正はまだですが、あまり気にせずに使ってみます。
追記:
宜しかったら、ワタシのHP(上記)をご覧頂ければ嬉しいです。
Dellbeeさんの回路図を勝手に引用させて頂きました。
もし、不都合であれば、削除しますので、その旨ご連絡ください。
2011/08/24 08:58 by ewa512 URL 編集
Re: アナログ式CPMメーター回路図
(無線言葉を使って申し訳ありません。OM=当ブログにおける敬称です)。
お返事が遅れてしまい、大変失礼しました。
さきほどブログの方にもお邪魔してまりました。
ご自作機に加えブレッドボードでの実験写真からもかなりのスキルをお持ちのようですが、拙稿が少しでもお役に立てば幸いです。
またお問合せを頂きながら老人ホーム探しに奔走し、お答えできずに申し訳ありませんでした。
私の方は父親の介護もあり、今後、趣味実験に費やせる時間は限られそうですが、それでも時間の隙間を見つけて進めようと思っております。
どうぞ今後ともよろしくお願いします。
(ブレッドボードでお使いになっているワニ口ケーブル、初めて見ました。安全そうですね)。
みなさま、ewa512 OMのHPです↓
http://blog.livedoor.jp/eddie_walker/
2011/09/07 02:46 by Dellbee URL 編集