2018/12/27
YAMAHA FS-55
■2018年 機械弄りのメモ■ (レストア記は後日別稿)2018年9月。以前から欲しかったヤマハのフロアステレオ、FS-55を入手。
11月中旬、BABYMETALの限定アナログ盤到着前にひとまずレストア終了。
(アナログ盤はもったいなくて、まだ未開封)

70年代後半、親戚のお姉さんの部屋にあったインテリア雑誌(私の部屋)の裏表紙に載っていた広告を見たのが始まり。
ハナタレ小僧ながらその斬新なフォルムに惹きつけられ、大人になっても忘れられず。

雑誌【私の部屋 22号】(写真はその裏表紙)
数年前、ママチャリで秋葉界隈を走る楽しみを覚えた頃、ふと立ち寄った神保町の古本屋にて再会。

■以下、レストア記録は別稿として、とりあえずFS-55・主要作業のメモ
今までは置き場所の問題で入手を躊躇していたYMAHA FS-55の白、ついに到着。
保証なしジャンク扱いは承知。例によって使用終了以来、手付かずのウブな状態である事を願う。
届いた品は使い終えた故障家電といった風貌の、望み通りの逸品。
やはりデカイ。機械のある部屋に運び込んで分解前の点検とかはもう無理。玄関で持ち上げて廊下に置いた台車に載せ、部屋二つ通過してキッチンで荷解きと点検。

スピーカーのプラグ(4P)が砕けていたので手持の新品と交換し、軽く動作テスト。
アンプ左右音出し確認(歪・ゲインの不揃いは感じず)、チューナーはアンテナ無しで放送が受信できる環境にないのでディップメーターを使いキャリアの受信と振動変調※で復調を確認(感度は未確認)、タイマーはチリチリ音だけで動かず。
2Wayのスピーカーは当然ながらネットワーク有、ウーハーのエッジ現存(程度は要チェック)。
筐体内外、汚れ・埃の堆積あり。致命的な破損、変形は無し。艶なんてどこにも無い。
※振動変調=ディップメーター(十代の頃に自作)を指で叩く。ビョンビョ~ンと変調が掛かる。

雑な扱いのまま分解に挑むと筐体を壊しそうですが冷静に観察すればアンプ部の分離はさほど難しくなく、メンテも行い易い作りになっていました。シャーシには運搬時の持ち手となる打ち抜きや筐体に収める為のローラーまでついています。
マイナスドライバーやヘラを突っ込んで抉る部分は一切ありません。
アンプやチューナーは壊れていても直す自信はあるので機構的な所を先にメンテ。

コパルのタイマー(ドラムクロックユニット)。60Hz仕様。
最終的にここだけは動作せず飾りになってしまうかもと弱気になった部分。
モーター軸のギアが経年劣化でボロボロ。弄っているそばからギアの歯が崩れ落ちる。
同じ表情のコパルやセイコー(シチズン系はコパルOEM供給が無かった模様)のドラム時計で希望する周波数の物を手に入れ、ユニットを丸ごと或いはモーターのみを交換する方法が思い浮かぶが、この世代のものは同じ症状が発生している可能性が高い。
実際にコパルのドラム時計で同じ不具合を検証したブログを拝見しました。

USAには健全なギアから模りした複製ギアをeBayで販売している人がいました(主にボールクロック用モーターだが同型)。かの国は電圧は違っても周波数は60Hz、eBayの写真を見ても歯数・モジュールは同一のようであり、本機既存のモーターを使い60Hz仕様とするなら多分大丈夫でしょう。
しかしながら当地は静岡でも東電の50Hz、さて、どうしましょう。
要するに1rpm CCWの軸出力が欲しいのですが、ギアボックスを再利用するなら300rpmのモーターが必要。

① eBayで数千円払ってコピーギアを輸入。60Hz仕様で動作するまでレストアし、50Hz地域でもそのまま使えるようタイマー用に60Hzの正弦波インバーターを製作する。
② PICやArduinoで1分1発のパルスを生成、ドラムクロックの分進カムをソレノイドで押す。秒ドラムは諦める。
③ エアコンルーバー用等の小型ステッピングモーターを1rpm CCWで回す。制御はPIC。
③ aitendoで買った小型の液晶パネルを使い、それらしいデジタルクロックを作る。
秋の夜長、いろいろと考えを巡らせてしまいましたが実際にはどれも時間とコストがかかり過ぎ。
実際には上記を思い浮かべる以前に、ぼんやりと考えていた方法で修理完了。正解だったようで絵に書いたように収まりも良く、作業は半日で済みました。今のところ誤差も出ず問題無し(費用2千円弱。詳細は後日のレストア記録に)。

スイッチのクリーニング。
表面処理された部分なのでコンパウンドや紙やすりの使用は避け、綿棒と綿棒の軸とアルコールを使用。
可動側のコンタクトは厚紙を通したりして黒ずみを落しました。
仕上げは接点グリス。復活剤や5-56は使わず。

本機に使用のトランジスタはパワーアンプ終段(準コンプリSEPP)とそのドライブ、チューナーのRF部と電源部にそれそれ見合った物、それ以外は2SC-458LG-C。
ちなみにフォノイコライザーはSANYOのIC。2018年現在、若松で購入可能。

その2SC-458LG-Cの脚はマイグレーションとやらで真っ黒。
しかし分解前の簡単なチェックでは左右のゲイン差や明らかに天井を突いているような歪は感じられず。ならば70年代のオリジナルを尊重すべく、ここで闇雲にトランジスを交換する事は控えようと思いました。
マイグレーションに関してはその進行を抑制するためにも全てのトランジスタを一度外して脚を磨き、安物のチェッカーでhfeが偏差内に収まっている事を確認してから元の位置へ戻しました。
(こういったセコイ拘り、気休めこそが往々にして罠に嵌る切っ掛けとなる)

コレやっちゃダメ。
脚は黒いけど音出てるし?。磨けば綺麗、中までは進んでいないかも?。
いや、そんなに甘くはなかったです。やはりモールドの中までやられるようです。
確かに一見は動くので、この世代の機械だからこの程度の騒がしさ(ノイズレベル)は許容範囲内だと思い込んでしまうところでしたが、実際はS/Nが大幅に劣化していました。昔のアンプだからとか経年変化は仕方ないとか、そういったレベルでない。冷静に考えれば70年代後半に作られた機器なら実力はもっと上(低ノイズ)な筈です。現状、一応音楽は聞けるが実のところは明らかに故障じゃん。
マイグレーションの報告があるトランジスタに関しては動作機器から外した物はもちろん、NOS品でも半パラ(半導体パラメータアナライザ)等で検査できないのなら使うべきではないと感じました。
不良を当時物と交換した結果、無事に音が通りましたので修理完了です、とはならない可能性が大。
ということで、もう70年代の2SC-458LG-Cに拘るのはやめ。TO-92形の2SC-458-Cテーピング品を購入し全取っ替え。こちらはhfeも恐ろしく揃っていました。
交換後は、これが普通なのでしょうが、ものすごく静か。

筐体はさすがヤマハ。がっしりと、かつ精度良く作られています。
アクリルのダストカバーは閉~全開の間に2段の静止位置あり。

プレーヤー部分はヤマハの単体プレーヤーに同じ形の物を発見。従ってこのユニットはFS-55のために設計製造されたものでは無いようですが、そうであれば丸ごと交換を含め部品の手配に困る事はないでしょう。
ベルトはアマゾンの中華製を使用可、周波数変更は交換用プーリーがシャーシに付いていました。

タイマーの照光は放電管によるもの。緑色のネオン管と言いがちだが、博識なOMからフロー管と指摘が入るかも。
到着時は劣化で輝度ほとんど無し。LED化とか野暮な事はせず、新品のフロー管と交換。
ドラム式クロックの構造上、照光ムラは仕方なしか。
プレーヤーの右はオプションでカセットデッキが入ります。
有ればパーフェクトでしたが、無ければ無いで遠慮なく別の機器を組み込めます。

普通にトランジスタアンプのいい音です。
自分が手を入れたという愛着で若干贔屓目にはなっているのでしょうが、我が家のオーディオセットとして現役で十分に活用できるレベル。
スピーカーに関しても今まで小径フルレンジばかりだったので本機のバスドラを追えるような低音は新鮮。

今後、優秀なプロショップさんが本気で仕上げて来れば話は別ですが、現在のところは世界中を探しても希な【普通に動くFS-55】でなはいかと自負しております。

FS-55レストア作業の詳細編は後日に改めてアップする予定です。
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コメント
No title
清掃の行き届き具合が良いですね。レタリングも損傷なしで美品ですね。
トランジスタの足清掃について、ご苦労様でした。
検索のし過ぎで頭でっかちになっているとこういった作業しちゃった経験ありです。
もっとも私の場合行き当たりばったり修理が基本で技術力が無い故に・・ってところも大なんですけど。
それにしてもお部屋・・・片付く日がくるのかな
2019/01/04 12:54 by シンシア URL 編集
承認待ちコメント
2022/01/17 15:41 by 編集
No title
調べた所ターンテーブルのゴムベルト劣化、ボリュームにガリ、タイマーの動作不良、あと下の蓋の開く速度を調整するダンパー?のネジが本体から外れてしまっているのを見つけ、修理することにしました。
特に面倒だったのはタイマーでした。本文でも触れてましたがモーターに繋がってる所のギヤが加水分解でボロボロになってました。このタイプのタイマーはほぼここがダメで終わってるものが殆どだと思われます。幸いモーターは大丈夫だったのでモジュール0.3の12枚のピニオンギヤを加工して打ち直すことにし、探しましたが加工しにくい金属製の物ばかりで樹脂製の物を探すのが一苦労でした。
あと照明用のフローランプも扱いがあまりなく入手に苦労しましたが何とか交換しました。尚、タイマーの保護のため使用時以外は電源を切るようコンセントスイッチを付けました。
あと下の蓋の開く速度を調整するダンパー?の蓋の取付部分は小さな木ネジ2本で固定されてるだけなのでここも取れてしまっている個体も多いと思います。
あとヤフオクでターンテーブル横に付ける可動品のカセットデッキ付きでジャンクのFS-55が出品されていたので落札し、購入以来付けたかったカセットデッキを移植しました。尚、他にも使えそうな部品もあるためこれは部品取り用に保管します。
令和になってやっとバージョンアップしましたが、今は無くなった「木のステレオ」をこれからも維持していきたいと思います。
2023/05/14 00:13 by URL 編集
コメントありがとうございました
お父上が遺されたFS-55を整備されたとのこと。
純正のカセットもご入手されたようでアップグレード完了ですね。
どうぞ大切にされてください。
ウチのFS-55は時に台になったりもしておりますが現在も調子よく鳴っています。
2023/06/08 12:11 by Dellbee URL 編集