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Shibasoku 796E 連動歪率計 ①内部点検



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ジャンクで買ったシバソクの796 E、古い連動ひずみ率計です。
ジャン測でも人気のオーディオアナライザですが、さすがにここまで古い物になると手を出すべきか否か悩んでしまう方も多いのではないでしょうか?。私も実用というより、どんな感じなんだろうと興味半分で手に入れてしまいました。

以下は入手後の点検の際に撮った写真がメインの記事ですが、ジャンク購入の際の参考にでもなれば幸いです。



到着時点では電源こそ入るもののモードやレンジを切り換えるとメーターが振り切ったりニキシー管が青紫に光ったりの状態。
(レベル計測不能、発振出力確認できず)

こんな機械に興味をお持ちの方なら上記現象とパネル面を見て最初にやるべき作業は何か、すぐに頭に浮かぶ事はずです。
スイッチの掃除。

ということで、まずはスイッチをバラすためにはどうすべきかを探りながら内部を観察。

下の写真はシャーシ上側。
恐らく1970年代の機械ですが全体的に清潔感を保っており、回路や使用部品、構造なども思ったより古さを感じません。
基板に繋がる配線はほとんどがピンコネクター使用なので基板の取出しは容易。

右下、立っている基盤がメインの正負電源。

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整然としたレイアウト。基板は全てガラスエポキシです。
おそらくジャブ(ハンダ槽)仕上げなのでパターンにもハンダメッキが乗っておりパターンの傷みは無い模様。
70~80年代の機械を弄り慣れている方であれば受け入れられるレベルの古さではないでしょうか。
茶色いベークはプッシュスイッチ。

周波数表示に3桁のニキシー管が使われていますがインジケーターとしてあるだけでカウンターは搭載されていません。

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シャーシ下側、左側中ほどの基板がウイーンブリッジか何かの低歪発振回路でしょう。基板上にゲイン制御用のランプがあります。
この基板上にもケミコンが多く見られますがストレスフルな箇所では無いはず。見た感じは荒れていますが明らかな故障は無い模様。
修理前に無条件交換などをしてしまうと余計に面倒になるので状態を把握するまでは放置。

本機で使用されているトランジスタの脚に黒ずみは見られません。

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基板には固有の番号が明記されていますが、”oscillator”といった機能の表示は無し。
基板上の入出力も電源部分は電圧が記されていますが他は信号名の記載などはありません。番号のみ。
半固定、トリマーも部品番号のみ。何を調整する箇所なのかは回路を追う必要あります。

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ニキシー管が紫色にレロレロしていた原因 ↓

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この装置唯一の高圧回路用(といってもニキシー管の点灯電圧)ですが、明らかに液漏れして容量抜け。
ニキシー管にストレスが加わるのでコレだけは即交換。

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周波数設定用のCR群。
ロータリースイッチのブレードに黒ずみあり。導通は確保されている模様。
部品(CR)の脚には黒ずみが無く綺麗な状態を保っていました。

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下の写真はCRパックを取りはずした状態ですが、ここまでが一苦労。
HPの機械のようにすんなりとは行かず、ボンドで接着されたサイドパネルの一部を剥す等の作業が必要でした。

シャーシの状態は非常に良く、修理を諦める理由が見当たりません。
どこかがボロボロなら、それを理由に諦めますがこの機械はまだ勿体無い。

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なぜCRパックを外したかというと、4グループあるプッシュスイッチを全て分解する必要があった為。
本機は入手時点でモードセレクタ、レンジ、入力インピーダンス切換、アッテネーター、全部ダメ。
どこかを切り換える度にメーター止まったり振り切ったり…、すべて状態が定まりません。
(ただしスイッチの位置を微妙に調整するとレベルが読める、正弦波が出るなど、期待できる動きもアリ)

冒頭でも述べましたが修理の前にはどうしても解決しておくべき箇所でしょう。
単純な接触不良ですが強制クリーニングとばかりに復活剤を吹いてガチャガチャ弄るより潔く分解清掃。

個々のスイッチはM3のビス2本でコンタクト/摺動部分(汚れで真っ黒)に分離可能。
ただしコンタクト両面装備のグループがあるのと配線の余裕がないので狭い所での指先作業となります。

そしていつぞやのオーディオセット同様、コンタクトのクリーニングと接点グリス塗布。

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以上の作業後に仮の組戻しを行い電源ON。

オシレターの発振を確認。ローターリーSWにやや癖があるものの周波数の設定も可能。
レンジを切り換えてメーターの針がそれなに追従する事を確認。

誤差は出ているかもしれませんが故障は無いように見えました。



気を良くして(動作に期待をして)、メーターの目盛も補修。

写真では薄く写っていますが実際は赤目盛(ログスケール)がほとんど読めない。
昔ならコンパスにカラスグチを仕込んで目盛の上書きとか、インレタで文字入れとか、やったかも。

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今回は外した目盛板をスキャン、得られた画像データーをPhotoShopで色調補正~PPCに印刷。
スティックのりで目盛板に貼る。

こんな事をしてしまうと…、
針の高さが変わるのと貼った紙と針の間に発生する静電気の影響をOMさんから指摘されると思います。
仰る通りです(反論できず)。

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赤目盛の視認性が復活。

スキャナ/カラープリンタや画像ソフトが簡単に使える現代ですが、デカドライなどのインスタントレタリングが無くなってしまったのは寂しい。
少年時代、ラジオデパート1階の奥、マルカさんの前を通るとベークやインレタの匂いを感じたものだけど。

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600Ω/10KΩ 選択可能なバランス入力部分(シングルエンドは100KΩ)。
半世紀近く前の部品ですが物凄くしっかりした作り。
正式名称は6.5mmステレオジャック…じゃなくて、238号ジャック、だったと思います。

モノラルプラグを突っ込んでいますが本来は110号プラグ専用。

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水洗いしたパネルとツマミを組み戻し。
中央のSW、モードセレクタのレタリングが消えかけているのでメモを貼ってます。

やっぱり気軽にインレタが買えてた昔が懐かしい。

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ヤル気が沸いて来たら詳しくチェックするとして、さっと見た限り特殊な部品は無く、基板/配線もすっきりしています。
アンプを自作される方なら回路図が無くとも修理調整は十分に可能ではないでしょうか。

この型の仕様は取れませんでしたが同系列・後世代ならばカタログがダウンロード可能でした。
計測器専門の情報サイト(リンク→):TechEasyOnline




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Author:Dellbee
デルビィです(少年時代にハマったアマチュア無線局のコールサインを捩りました)。
子供の頃から電子電気・機械物弄りが好きで、今も自分の時間が取れた時は何か弄っています。

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