2011/05/23
ガイガーカウンター用高圧測定用アダプタ(2)
仕事に追われ一週間ぶりの更新となってしまいました。先週アップしました高圧測定用アダプタの回路図です。

1000MΩの抵抗は100MΩ×10本です。アッテネーターの減衰量は1番下の100KΩ(半固定)を使い、マルチメーターとトラッキングして校正しますので抵抗単体の誤差はさほど問題になりまません。
重要なのは本当に入力抵抗(インピーダンス)が1000MΩ(正確には≒1001MΩ)か?、ということですが、40V時に0.04μAしか流れない事は確認しました。
擬似GNDを1KΩ2本の分圧で作っています。C-MOSのオペアンプにしては電流を流し過ぎのように見えるかもしれませんが ICL7611 にはバイアス電流(入力端子ではなく内部)を LO,MID.HI と3種類選択でき(8ピン=IQ select)、ここではハイバイアスモードとして動作させているのでその分の余裕を持たせています。
ガイガーカウンターを作る為には絶対必要という物でもないのですが、追試される場合は赤線の部分の実装に気をつけて下さい。
基板実装でもギリギリ問題ないとは思いますが、できれば空中配線、あるいはテフロン端子などを使います。
オペアンプも入力ピンだけは水平程度にピンを曲げ、基板に接するのを避けます(あるいは基板にやや大きめの穴を開け、ピン自体に抵抗を半田付けします)。
1、5番ピンの10KΩと5KΩの半固定はオフセット(ここではゼロ調整)です。
オペアンプ自体が優秀でも擬似GNDを分圧で作っているので若干オフセット電圧が出るかもしれません。
が、とりあえずこの部分は省略して作ってみて、例えば出力をデジタルテスターで見る場合は入力をショートして1、2カウント程度ならそのまま、10カウント以上出る場合はオフセット調整を設置すれば良いと思います。
設定端子の無いオペアンプの場合は擬似GNDの分圧抵抗の一方を半固定とし、擬似GND点をオフセット電圧と反対の方向へ微動させます。
(コテコテに作っても温度ドリフトなど、他の誤差要因も残っていますので、ここはあまり神経質にならず、サラリと作ってしまった方が賢明でしょう。オフセットカウントはトラッキング校正時に足し算、測定時に引き算すれば済みます。)
出力のRpは保護抵抗です。無くても問題ありませんがオシロスコープのプローブ同様、わずかな抵抗でも挟んでおく事で誤操作によるデバイスの破壊を防げることがあります(万全ではありません)。
接続するテスターの入力抵抗(インピーダンス)は10KΩ以上が必要ですが、廉価品のデジタルテスターでもそれ以上はあると思います。
これで400V測定時、0.4μAが流れ込みます。160μWの消費です。
秋月さんの電源回路の測定ですとこれでもやや厳しい気がします。
ガイガーカウンターの電源部製作の際にもう少し詳しく書かせて頂くつもりですが、秋月さんの回路+写ルンのトランスではもっと厳しいと思います。
しかし写ルンの回路そのまま(LED除去+平滑コンデンサ交換)では測定によるベース電流や発振周波数の変化がさほどなく、そのパワフルさに助けられ、そこそこ測定できている感じです。
いずれにせよ10MΩのアナログVOM、マルチメーターでの計測よりは実際の値に近いと思います。
↓はDVM直結案です。

少し前の特売品デジタルテスターにはDIPパッケージの ICL7136(インターシル)が使われていることがあるようです。
また秋月さんのDVMキットも ICL7136 ですね。
このLSIは単体で入力バイアス電流が 1pA(標準値) であり、インピーダンス1000MΩ程度のアッテネーターなら直結できる実力があります。
199.9mVがフルスケールですので400V~1000V程度を測定するには減衰量= -80dB(1/10000)となりますが、そこそこ丁寧に作ればカウント暴れから逃れることも不可能ではないと思います。
またこの場合も念のため入力ピンが不用意に他の物と接触するのは避け、例えば秋月さんのキットならICソケットを使わず、基板も ICL7136 の31ピンだけは2,5mm程度の穴を開け、ピン自体に部品を半田付けすれば万全でしょう。
裸特性(199.9mV)を追い込んでからATTの20KΩを調整します。
推奨回路なので残しましたが入力の1MΩがハリガネ扱いですね。
さて、それでは早速ですが、気になる電圧を測って見ましょう。
まずは写ルンの基板からLED除去、平滑コンデンサを0.1μFのフィルムコンに変更した物です。
電源は電池ではなく、安定化電源です(アナログテスターが電圧を指しています=1.5V)。
4月4日に動画をアップして以来の検証となってしまいましたが、SBM-20 には美味しい電圧でした。
(当然ですが実際にはこれでも測定による電圧降下は起きています)

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