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GM管のパルス駆動

GM管のパルス駆動については既にその解は導き出され、正確な動作原理も既出かも知れませんが、私なりに仮説(妄想)を立てみます。
(6月8日にアップしましたGM管の動作波形からの推測を含みますが、以下、大ミス&勘違いをカマした単なる妄想でしたらお許し下さい。)

20110623_003.jpg

まずアノード抵抗の変化によるGM管の電圧回復時間です。
SBM-20の場合、1MΩ(正確には1MΩとプローブ10MΩの並列合成)程度では最初の放電をきっかけにその後は発振してします(左)。
(この発振中の波形観測も決して無駄なものではなく、駆動電圧とスタート電圧の関係を暗に指し示しているような気配です。これらはまた実験により検証してみたいと思います。)

※アノード抵抗0Ωでもスタート電圧を超えていれば検出~連続放電は必ず起こります。
極端な低インピーダンス電源(AC100V→トランス式など)を用いている場合は管のダメージはもちろん、短絡電流による被害などにも注意が必要だと思います。
また、アノード抵抗・GM管・検出抵抗は直列接続で分圧根拠がありませんので、どんなに抵抗値を弄ってもGM管自体に加わる電圧に変化はありません。
供給電流の変化によりデッドタイムは変化しますが、600V仕様のGM管用回路のアノード抵抗をどんなに増加(低減)させても管に加わる電圧は600Vです。

真ん中を飛ばして右端の波形は10MΩ×3本とオシロのプローブ(10MΩ)を、ほとんどヤケクソになって直列にした際のものです。
都合40MΩですが、放射線の検出動作自体は問題なく行っていますので、例えばアノード抵抗が100MΩでも電源投入後GM管の電圧がスタート電圧に達すれば放射線の検出動作は行うと思われます。
但し(当然ですが)回復には時間がかかり、デッドタイムの長い=ロストカウントの多いガイガーカウンターになってします。

これらからGM管が連続して放射線を検出する為には一定の値以上のアノード抵抗を介し、所定の電圧でGM管(の容量)を満たしてしまえば良いということが判ります。
所定の電圧=負の電圧ではアノード抵抗を介して吸い出されてしまいますが、正の電圧であれば蛇口の水道水のような純粋なDCでも、いわゆる半波整流したパルス(この場合は何回かに分けて注ぐ必要のあるコップの水)でも問題ない訳です。
アノード抵抗の値は充電量(水流の太さ)を抑制しているのですから、これは検出後の動作(回復動作)の方により強く影響します。





20110623_001.jpg

上の図ではパルス駆動の波形を矩形波(振幅は駆動電圧)、パルス巾をGM管の回復時間の1から数倍程度として考えます。

OSCはGNDから正の方向に、GM管の駆動電圧に等しいパルスを作るとします。
ダイオードはパルスが落ちた際の逆流の阻止を担っています。

これによりパルス性の電圧印加でも「C」(GM管)への充電がパルス毎に行われ、充電完了次第、いつでも放射線を検出できる状態に置かれることになります。

※図ではパルス巾が広めですが、もしパルス巾が回路の充電時間(積分時定数)よりも狭い場合、何発かのパルスを受けながら時間と共に階段状に電圧が上昇し、スタート電圧を通過、最終的に駆動電圧で飽和します。

細いパルスで(短時間で)積分時定数を満たす必要があるなら、「R]を小さくしてしまえば事は解決します。

しかしGM管の場合、「R」=「アノード抵抗」の値を下げてしまうと動作が不安定になり、最初の放電の後、内部クエンチングが効かず文字通り滝のような放電状態(発振状態)に陥ります。
そこで必要となるのが外部クエンチングです。もし純粋なDC駆動であればGM管をリセットする為に何らかの回路を置かなければなりません。しかしパルス駆動ですと付加回路は全く必要ありません。

放っておいても夜は来ます。
パルスですので山が来た後に来るのは谷です。この谷でGM管にリセットがかかります。

(デッドタイムについて)
純粋なDC駆動ですと検出出力がアクティブの時間(検出パルス巾)はほぼ一定ですぐにリスタートが始まりますが、パルス駆動による外部クエンチングですとリスタートが完全非同期な周期待ちとなり、アクティブ時間が長くなる場合がほとんどでしょう(人間に対する通知回路のパルスストレッチは不要になるかもしれません)。
(検出パルス巾(アノード抵抗波形で谷の部分)もデッドタイムの一部ですが、これら本来からGM管が有する電圧回復に関するデッドタイムに加え、外部クエンチング動作が引き起こすデッドタイム(リセットの時間巾=タイミングにより不定)が発生します。)
これを最小限に抑えるには仮説の図よりはるかに狭いパルス(高い周波数)を用いることになると思われます。
(周波数が高すぎたり、パルスの波形によってはリセットが行われなくなる事も予想されます。)


実のところ最近までパルス駆動に関しては全く興味が無かったのですが、VICTOREENのプローブやアノード抵抗の波形からふと思いつき、生意気な仮説を立ててみた次第です。
拙稿アップ前に他の方のブログから外国製のキットの回路図(写真)を見る機会に恵まれました。アノード抵抗値の設定などを含め、自分ではそこそこ仮説も近いかな?という程度の感触はありますが、さてどうでしょうか。

また、これがはたしてパルス駆動と呼べる程の考えなのか、それは全く自信ありません!。
仮説ではパルスの形や振幅を都合良く導きやすい形としてしまいましたが、現実的(実用的)に組上げるには波形、周波数(=GM管のリセットタイミングにも関わります)、アノード抵抗の値など微妙な追い込みが必要になってくるのは明白です。
(ただ、周波数を上げれば、電圧は低めながらデッドタイムはさほど長くならずに済みそうな気がするのと、外部クエンチングに関してその回路をGM管の近い部分に設けるなら、パルス駆動の方がより現実的であるようにも感じます。)
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コメント

この測定の目的は、、

お久しぶりです。
引き続きウオッチしておりました。

この測定の目的は、アノード側に置く抵抗(アノード抵抗)について、
あまり抵抗値を下げると発振したり、管が放射線を受けたときに
大きい電流が流れて管寿命を縮めるので良くない。また、
抵抗値を上げすぎると今度は次のカウントができるように
なるまでの不応時間が延長するので良くない。
このように、理想的な中間の抵抗値を決めるのが難しい場合は、
パルス駆動により外部クエンチングをかけると解決するよ、
という意味で測定をされたのではないかとお見受けします。

時定数がもしアノード抵抗とコンデンサ(=GM管)に依って決まるので
あれば、アノード抵抗とGM管の間に直列に高耐電圧のコンデンサを
加えるというのはどうでしょうか。そうするとコンデンサを直列につなぐ
ので、合成容量はいくらでも小さくでき、アノード抵抗をあげなくても時定数が
小さくできると思われます。

類似の事として、ダイオードとアノード抵抗の間を、通常1000-4700pF程度の
高耐圧コンデンサでGNDと結び、電源を平滑化していると思いますが、
そのコンデンサの容量を下げることでも得られると思います。
その時にあまり小さくすると電源の平滑化がされずパルス駆動に近づく事になります。

このように外部クエンチングをつかわず時定数の調整で勝負することで、
パルス駆動のオフ時間での信号取りこぼしが減って計算が単純化できる
のではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

ご教授いただけましたら幸いです。

No title

CK1021
のチューブですが、反応がありません。アメリカの50年前のGM管です。ガイガーを製作中ですが、900Vで動作が出るとのことですがうまくいきません。GM管の良不を調べる簡単な方法は、ありませんでしょうか。

CK1021

こんばんは。はじめまして。

諸般の事情で更新ペースが落ちておりますが、久しぶりにコメントを頂き、喜びつつ恐縮しております。
CK1021、レオセオンの球でしょうか?。レア物ですね。

ご存知かも知れませんがGM管の動作確認にはAMラジオを使う手があります。
推奨電圧をアノード抵抗を介して与え、検出回路等は一切接続しない状態でGM管の近傍にAMラジオを置けば、放射線検出のたびにラジオに雑音が入るはずです。
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プロフィール

Dellbee

Author:Dellbee
デルビィです(少年時代にハマったアマチュア無線局のコールサインを捩りました)。
子供の頃から電子電気・機械物弄りが好きで、今も自分の時間が取れた時は何か弄っています。

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