2013/03/24
Lo-D D-4500 レストア記

PENTAX istDSに入れっぱなしだったSDカードを覗いたところ、数年前の愚行が蘇りました。
日立ローディーの高級カセットデッキ Lo-D D-4500 レストア記録。約三年前。
発売当時は憧れだけで手に入れようなどと大それた事は微塵も考えていませんでした。
しかし何事も思い続ければいつかは叶うもの。
三年前、オークションでそのチャンスが到来。残存個体も少なくなっている事でしょうし、もう状態は不問、意地になって落札しました。
覚悟はできていましたが到着した物は、、、好きな人以外が見たらガラクタ。
自分でも ”うわぁ、ついにD-4500” という感激と ”すごぉい、ボロ・・・”
まあ、使用を終えてからは手付かずだったようで、一見して修理を試みたり部品を交換した形跡は無い点には安堵。
これが ”修理済、接点は復活剤塗布処理、ケミコンは高音質タイプに、トランジスタは耐ノイズを考慮してモールドタイプからCANタイプに全交換済” とかでしたら、もう絶対手を出さない。
このレストアは学生時代に無線機を一台作った時と同じ位の労力が必要でした。
楽しかったのは事実ですが、作業後半はお腹一杯状態。おそらく二度はできません。


写真では写りきれていませんが、全体に砂埃と錆とカビ。金属部分に艶は無し。
フライホイールはシャーシに対して凹型となる形状でその周辺はまさに湿地帯。
軸受け付近にはキノコのような、カビ?。


メカ、スイッチ、VRは錆と砂でガリガリ、ゴムベルトは千切れてカチカチ。
幸運な事に??、モーターは回りました(DCかければ)。メーターは振れました(DC流せば)。
しかしボタンを押してもメカは動かず。電源は来ていましたがAF全滅。EEでも信号通らず。
もう、何処を直してと言うより、バラバラにしてOHするしかない状態でした。
(キライな事ではないので作業開始時はニコニコ。)

波打つように反っていた基板。
今のPCで言うマザーボードと拡張ボードのように、バイアス発振やSWなどの基板が写真の基板上、垂直に実装される構造なのですが、それら接続用コネクタのピンは半田が全滅だったような記憶。

これは錆カビを取り、手に入る物を使って修復した作業後です。

ここまでに2ヶ月以上。かなり本気で仕上げたので現存個体の中では優秀な方だと思います。
メインシャーシの上をヘッドを載せたサブシャーシがベアリングで移動する構造です。
厚い鉄板なので歪み変形は無くOH後は滑るような滑らかさ。まさに高級機(昔の)。

元気な時は基板側の修理、疲れて頭を使いたくない日は機構部品を直していたような、、、。





幸いなことに基板上の部品で完全にNGとなっているものはありませんでした。
念のため電源に関わるケミコンは全て交換、信号経路のケミコンはあえてそのまま残し音出し。
良い音ですが、やはり第一世代のカセットデッキ。まあ、頑張った分、+3dB良い音に聞こえました。

作業中の写真はまだありますが、整理ができたら改めてアップします。
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コメント
1973年
2013/04/23 20:51 by zorac URL 編集
Re: 1973年
はじめまして。
お詳しい方からコメントを頂き感激しております。
当時、私にとってD-4500などもう雲の上の存在で、いつか大人になったら買えるかなあと、ただ店頭のデモ機やカタログを眺めておりました。
(秋葉原ラジオセンター二階で見た最廉価の平型OTTOさえ手の届かぬ品でしたが、デモ機のメーターの色や店に漂う新品機械の匂いなどまだ鮮明に覚えています。)
実はカセットデッキ、大好きでして。
子供の頃の憧れのオーディオセットであり、青春時代を共に過ごしたパートナー?。
デジタルオーディオの時代になってもカセットデッキからは卒業できません。
今となってくたびれた品の修理を楽しんでおりますが、一生懸命動くメカや各社独自の回路に感動させられる事も多々あります。
実はこれ以外にもティアックの古い3ヘッド機やアカイのGXC-65D、その他を弄りました。
A-450も所有しておりますがこれは松下の275Cuと並び、本当に音の良い機械ですね。機会を見てそれらのレストア日記も書いてみます。
今後ともよろしくお願いします。
2013/04/24 21:16 by Dellbee URL 編集
D-4500の企画者です!感動の記事をありがとう!
このカセットデッキを企画したのは大学を出て配属された1年目の秋です!新入社員の企画でしたから部課長の猛反対を当時の事業部長の押しで決定し、1人事業で実行しました。設計はDATの産みの親で当時著名なNHK技術研究所の林謙二氏をスカウトして技術監修をお願いしました。設計人は5名で林部長が選択しましたが全員院卒の新卒でした。様々な技術の壁を粘り強くトライアンドエラーを繰り返し、ものにしましたが最大の壁は録音と再生ヘッドを
独立設計しながら1つにまとめた「R&Bコンビネーデョンヘッド」でしたが最高の性能のヘッドが完成しました。
お話ししたい事は山程有りますがいずれ機会があればお会いしたいですね!私は東京/川崎辺りなら可能です!
2017/09/08 22:05 by 納富誠治 URL 編集
お返事が遅れ大変失礼しました。
コメントを頂きながらお返事が遅れ大変失礼しました。
どうかお許しください。
D-4500産みの親である方から当時のお話を伺えるなど夢にも思っておりませんでした。
読み返す度に凄い方からお声掛けを頂いたのだと驚愕しております。
ちょうど今の季節から企画が始まったというお話も、何か大げさですが運命のようなものを感じずにはいられません。
D-4500やLo-Dについて、神話・伝説化した部分も含め、私としてもお尋ねしたい事は山ほどございます。
たとえば本機なら噂にあるヘッドの歩留まりの件など、、、。
よろしければ是非今後ともお付き合いください。
全国のLo-Dファンも納富様を捕らえれて離さない筈です。
幼稚な技量のまま勢いだけで修理を進めました当方のD-4500は今も健在です。
この週末を過ぎれば今月の仕事が一段落となりますので改めて具合をチェックし、写真もアップさせていただきます。
できれば本機を産みの親に再会させてやりたいという希望があるのですが、いきなりの我侭を申しても失礼となるばかりですので今はお話を伺うことで我慢します。
まだ驚きで冷静になれず、お伝えしたい事を文章にできません。
とりあえずご挨拶ということでお許しください。
納富様は東京・川崎方面にお住まいでしょうか。
私の方はここ一年のブログにも記しました通り、期間限定で東京から伊東に来ております。
スーパービュー踊り子号が東京方面に走るのを風呂場の窓から眺めておりますが川崎も通りますね。既にレールは敷かれているということで。
2017/09/17 16:18 by Dellbee URL 編集